物件を購入したり注文住宅を建てたりする際に、「坪単価が高いから…」という話を耳にすることがよくあります。
坪単価は物件購入や注文住宅の建築において非常に重要な指標です。坪単価の意味を正しく理解していないと、後悔してしまう可能性があります。
しかし、物件に関する用語は専門的で難解なものも多く、「坪単価って結局どういう意味なの?」と戸惑う方も少なくありません。
この記事では、坪単価の基本的な意味や計算方法、変動する要因、そして正しい見方についてわかりやすく解説します。
これから物件を購入する方や注文住宅の建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社の勤務を経て独立。2022年に法人設立。
現在は都心で不動産事業を営むかたわら、WEBメディアで監修や執筆に従事している。
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坪単価とは?【初心者にもわかりやすく解説】
坪単価は不動産や建築業界で頻繁に用いられる価格指標で、特に注文住宅の建築において非常に重要です。
具体的には、1坪(約3.3㎡)あたりの建築費用を表しており、建物の総工費を延床面積(坪数)で割ることで算出されます。
例えば、建築費が2,700万円で延床面積が36坪であれば、坪単価は75万円(2,700万円 ÷ 36坪)になります。
坪単価は住宅のグレードや仕様を比較する際の目安として活用されますが、設計の複雑さ、使用する素材の種類、設備のグレードなども大きく影響します。
そのため、坪単価だけで住宅の価値を評価するのではなく、コストと品質を総合的に判断することが重要です。
坪単価の計算方法
建物の坪単価を算出する際は、以下の基本的な計算式が用いられます。
この計算方法は多くの人が理解しやすいため広く使われていますが、坪単価に坪数を掛け直しても総費用が正確に算出できるわけではない点に注意が必要です。
注文住宅の本体価格は総費用の約75%とされており、残りの費用には付帯工事や諸経費が含まれています。
そのため、「坪単価 × 坪数」だけでは家づくりに必要な全体の費用は算出できません。
これから建築する住宅の総費用を知りたい場合は、坪単価と坪数から導き出した金額をあくまで本体価格の目安と捉え、全体予算はその約1.3倍を想定しておくと現実的です。
坪単価が変動する要因
坪単価は常に一定ではなく、さまざまな要因によって大きく変動します。以下のような項目が坪単価に影響を与えます。
- 本体価格の変動
- 延床面積の規模
- 設備のグレード
- 施主の要望
坪単価の意味を正確に理解するには、これらの変動要因を押さえておくことが大切です。
要因1】本体価格の変動
同じ延床面積であっても、住宅の本体価格が異なれば坪単価も大きく変動します。
例えば、本体価格が高ければ坪単価は高くなり、反対に安ければ坪単価は低くなります。
この価格差の主な要因は、デザイン性・外観・設備のグレードです。
特に注意すべきなのは、内装よりも外装のデザインが坪単価に与える影響が大きいという点です。
外観に強いこだわりを持っている場合、コストが上がり、結果的に坪単価も高騰する傾向があります。
要因2】延床面積の規模
延床面積の広さも坪単価に影響を与える要素の一つです。
ただし、延床面積が大きくなれば坪単価が下がる、小さくなれば上がるという単純な関係にはなりません。
例えば、40坪・3,000万円のプランから10坪減らして30坪にしても、費用が750万円(=75万円 × 10坪)も下がるとは限りません。
これは、面積が小さくなっても設備費用や諸経費が大きくは変わらないためであり、結果的に坪単価は逆に高くなるケースもあります。
つまり、延床面積を削っても比例してコストが下がるわけではなく、坪単価はむしろ上がるリスクがあるという点を理解しておく必要があります。
要因3】設備のグレード
住宅の内装や外装に使用する設備や素材のグレードも、坪単価に大きく影響します。
一般的に、高グレードな設備を導入すればするほど、本体価格が上がり坪単価も上昇します。
ただし一方で、ハウスメーカーによっては高性能な設備を大量仕入れによってコストを抑え、坪単価を安く保つケースもあります。
そのため、坪単価が低く見えても、実際にはグレードの高い設備が含まれていることもあります。
坪単価だけで判断せず、標準仕様に含まれる設備の内容を事前に確認することが大切です。
要因4】施主の要望
坪単価に最も大きく影響を与えるのが、施主(家を建てる人)の要望です。
施主がこだわりを持ってオプションを追加したり、特殊な設計を希望する場合、その分だけ建築費用が増加し、坪単価も上昇します。
たとえば、キッチンや浴室に高級設備を導入したり、複雑な外観デザインを求めたりすると、設計や施工の手間が増え、コストが跳ね上がります。
そのため、仕様や設備のバランスが取れていない家は、結果的に坪単価が高くなる傾向にあります。
理想を詰め込むのも大切ですが、コストとのバランスを意識した設計・要望の整理が坪単価を抑えるカギとなります。
坪単価を調べる方法
坪単価は建物だけでなく、土地の価格を把握する際にも参考になる指標です。
家を建てたい土地がどれくらいの価格で取引されているのかを知ることで、予算の見通しや資金計画を立てやすくなります。
土地の坪単価を調べる方法には、以下のような手段があります。
- 相場価格から調べる
- 過去の取引から調べる
- 土地相場を検索できるツールから調べる
それぞれの調べ方には特徴があるため、目的に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
相場価格から算出する
土地の坪単価を調べる際に最も手軽な方法の一つが、不動産情報サイトなどで売出し価格を確認することです。
ただし、掲載されている価格はあくまで売主が提示した「売出し価格」であり、実際の取引価格(=実勢価格)とは異なる可能性があります。
実際には、買主の値引き交渉などによって価格が下がるケースも多く、売出し価格から坪単価を計算すると、実際の相場より高めになることがあります。
このような理由から、正確な相場を知りたい場合は、過去の成約事例を参考にする方がより現実的です。
過去の取引から算出する
実際に過去に取引された土地の成約価格をもとに坪単価を調べる方法は、より信頼性が高く、精度の高い情報が得られます。
具体的には、以下のような公的情報サイトで確認が可能です。
- 不動産情報ライブラリ(旧 土地総合情報システム)
- レインズ・マーケット・インフォメーション
これらのサイトでは、地域・面積・取引時期・価格などの情報をもとに検索でき、実際の取引実績に基づいた坪単価を把握することができます。
特に土地総合情報システムでは、地価公示・都道府県地価調査の情報も閲覧できるため、相場感をつかむには非常に便利なツールです。
土地相場を検索できるツールを使う
近年では、無料で土地相場を検索できるインターネットツールも多く存在します。
こうしたツールを活用すれば、住所や地域名を入力するだけで、そのエリアの坪単価の目安を手軽に確認できます。
これにより、大まかな資金計画を立てる際の参考として非常に役立ちます。
ただし、これらのツールで得られる情報はあくまで目安であり、正確な坪単価や土地価格を知りたい場合には公的データや実勢価格の調査が必要です。
「だいたいの相場を知りたい」「ざっくりとした予算感を掴みたい」という方には、非常に有効な手段といえるでしょう。
土地売却の相場はいくら?土地を売る時の価格を決める要素と値段を自分で調べる方法
住宅構造の違いによる坪単価の相場
住宅の坪単価は、建築構造の種類によって大きく異なります。
主に用いられる構造体としては、木造・鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)の3つがあり、それぞれ使用する建材や施工技術、工事期間が異なります。
たとえば、木造住宅はコストが抑えやすく、施工期間も短いのが特徴ですが、RC造は耐震性や耐火性、防音性に優れ、その分コストも高めになります。
また、同じ構造であっても、地域の人件費や建材価格、施工の難易度などによっても坪単価は変動します。
構造による坪単価の違いを把握しておくことは、予算に応じた建築計画を立てるうえで非常に重要です。
木造住宅の坪単価【約56.8万円】
木造住宅は日本国内で最も多く採用されている住宅構造であり、コストパフォーマンスと施工の柔軟性に優れています。
全国平均の坪単価は約56.8万円で比較的手頃な価格帯となっています。
ただし、使用する木材の種類や品質、施工方法(在来工法・ツーバイフォー工法など)によって価格は上下します。
例えば、愛知県では平均53.2万円とやや低めになっており、地域差も一定程度存在します。
自然素材を活かした住まいを求める方や、費用を抑えつつ自由設計を希望する方には、木造住宅が適しています。
鉄骨造の坪単価【約76.1万円】
鉄骨造は高い耐震性と強度を兼ね備えており、大開口や自由度の高い設計が可能な点が特徴です。
そのため、商業施設やデザイン性の高い住宅などでも多く採用されています。
全国平均の坪単価は約76.1万円であり、木造住宅に比べて高額です。
この高コストの背景には、鉄骨の加工や接合に高度な技術が必要である点や、施工期間が長引きやすい点が挙げられます。
RC造の坪単価【約91.5万円】
RC造(鉄筋コンクリート造)は、耐久性・耐火性・遮音性に優れた構造であり、マンションや中高層住宅、耐震性重視の注文住宅に多く採用されています。
全国平均の坪単価は約91.5万円で、主要な構造形式の中で最も高額です。
RC造の坪単価が高くなる理由には、使用する資材が高価であることに加え、型枠工事や鉄筋組立といった工程が多く、専門技術を要する施工が必要な点が挙げられます。
コストはかかるものの、安全性・快適性・資産価値の高さを重視する人にとっては、十分に選択肢となる構造です。
坪単価の全国平均
前述の通り、坪単価は建物構造の種類や建材のグレード、施工の難易度などによって大きく変動します。
さらに、地域ごとの地価や人件費、生活インフラの違いも坪単価に影響を与えます。
以下は、2022年度建築着工統計調査のデータをもとに、全国および都道府県別の平均坪単価を示した一覧です。
| 地域 | 坪単価 |
|---|---|
| 北海道 | 約68.7万円 |
| 青森 | 約62.7万円 |
| 岩手 | 約63.6万円 |
| 宮城 | 約64.9万円 |
| 秋田 | 約60.4万円 |
| 山形 | 約61.8万円 |
| 福島 | 約66.2万円 |
| 茨城 | 約64.9万円 |
| 栃木 | 約66.5万円 |
| 群馬 | 約65.3万円 |
| 埼玉 | 約68.7万円 |
| 千葉 | 約68.1万円 |
| 東京 | 約80.8万円 |
| 神奈川 | 約74.2万円 |
| 新潟 | 約61.8万円 |
| 富山 | 約56.2万円 |
| 石川 | 約68.5万円 |
| 福井 | 約66.4万円 |
| 山梨 | 約67.1万円 |
| 長野 | 約66.2万円 |
| 岐阜 | 約68.0万円 |
| 静岡 | 約69.8万円 |
| 愛知 | 約70.9万円 |
| 三重 | 約69.8万円 |
| 滋賀 | 約65.8万円 |
| 京都 | 約76.0万円 |
| 大阪 | 約67.1万円 |
| 兵庫 | 約65.8万円 |
| 奈良 | 約65.7万円 |
| 和歌山 | 約63.5万円 |
| 鳥取 | 約62.5万円 |
| 島根 | 約63.8万円 |
| 岡山 | 約69.4万円 |
| 広島 | 約69.6万円 |
| 山口 | 約67.9万円 |
| 徳島 | 約66.5万円 |
| 香川 | 約66.8万円 |
| 愛媛 | 約63.4万円 |
| 高知 | 約65.7万円 |
| 福岡 | 約65.7万円 |
| 佐賀 | 約59.9万円 |
| 長崎 | 約63.8万円 |
| 熊本 | 約66.0万円 |
| 大分 | 約66.1万円 |
| 宮崎 | 約63.8万円 |
| 鹿児島 | 約63.5万円 |
| 沖縄 | 約81.2万円 |
| 全国平均 | 約68.4万円 |
| 全国市部 | 約68.7万円 |
| 全国郡部 | 約65.9万円 |
参照:2022年度建築着工統計調査より
全国平均坪単価は約68.4万円で、市部では約68.7万円、郡部では約65.9万円とやや差が出ています。
例えば、東京都の平均は約80.8万円と高水準で、30坪の住宅を建てると約2,424万円が必要となります。
一方で、最も安価な富山県の平均坪単価は約56.2万円で、同じ30坪の住宅でも約1,686万円で建築可能です。
このように、坪単価は地域ごとの経済状況や住宅市場の違いを反映した値であるため、比較検討の際には地域性も必ず加味しましょう。
各ハウスメーカーの平均坪単価
「これから家を建てたいけれど、ハウスメーカーによって坪単価が異なるって本当?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
注文住宅を建てる際には、大手ハウスメーカー・ローコストメーカー・工務店・設計事務所といった複数の選択肢があります。
それぞれの住宅会社は、建築スタイル・標準仕様・広告費などが異なるため、坪単価にも明確な差が生じます。
ここでは、代表的な住宅会社ごとの平均坪単価を紹介します。予算や希望する家のスタイルに応じて、適切な業者選びを行う参考にしてください。
大手ハウスメーカー【約70万円〜90万円】
大手ハウスメーカーの平均坪単価は、約70万円〜90万円と比較的高めの水準となっています。
その理由は、内装や外装の仕様が一定の品質で規格化されており、ブランド力や広告費・モデルハウスの維持費がコストに含まれているためです。
とはいえ、大手メーカーでは顧客の要望に応じたカスタマイズが可能で、高性能な設備やデザイン性に優れた住宅を提供しています。
「多少費用がかかっても、高品質な家を建てたい」「信頼性の高い会社に任せたい」という方には、大手ハウスメーカーが適しています。
コスト削減重視のハウスメーカー【約30万円〜50万円】
コストを重視したハウスメーカーの坪単価は、約30万円〜50万円と非常にリーズナブルな価格帯です。
この価格の安さの背景には、建材を大量に一括仕入れし、設計・施工をパターン化することでコストを削減しているという特徴があります。
その結果、同じような外観・間取りの住宅が一つのエリアに並ぶといったケースも見られます。
オリジナリティにこだわる方には向かないこともありますが、低コストで早くマイホームを持ちたい方にとっては非常に魅力的な選択肢です。
価格の安さと引き換えに、間取りやデザインの自由度はやや制限される点も理解しておきましょう。
工務店【約50万円〜60万円】
工務店の平均的な坪単価は約50万円〜60万円程度です。
大手ハウスメーカーと比較するとコストを抑えられますが、住宅のクオリティは同等レベルであるケースも少なくありません。
その理由は、工務店はテレビCMやモデルハウスといった大規模な広告・展示にコストをかけないためです。
また、地域密着型の経営スタイルをとっている工務店が多く、顧客の要望に柔軟に応じて設計・施工を行える点も大きな魅力です。
「こだわりの家を適正価格で建てたい」「地域で信頼できる会社に任せたい」と考えている方には、工務店がおすすめです。
設計事務所【90万円〜】
設計事務所に依頼する住宅は完全フルオーダーでの家づくりが基本となり、坪単価はおおよそ90万円〜と非常に高額です。
施主の要望に基づき、敷地条件・ライフスタイル・美観などを細かく反映させた一点物の住まいを設計します。
間取りだけでなく、構造や素材、動線設計などもすべて自由に決められる反面、設計期間や建築コスト、施工期間も長くなる傾向があります。
そのため、住まいに強いこだわりを持つ方や、デザイン性・機能性を徹底的に追求したい方にとっては最適な選択肢です。
「唯一無二の家を建てたい」「他にはない暮らしを実現したい」と考えている方におすすめです。
工務店よりハウスメーカーの方が坪単価が高い理由
「工務店とハウスメーカーでは、家の性能や品質が大きく変わらないのに、なぜハウスメーカーの方が坪単価が高いのか?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
実は、ハウスメーカーの坪単価が高くなる背景には、広告費・人件費・モデルハウスの維持費など、さまざまなコスト構造が影響しています。
ここでは、ハウスメーカーの坪単価が工務店よりも高くなる主な理由について詳しく解説します。
理由1】人件費用が高い
大手ハウスメーカーの営業職や設計職には、年収1,000〜2,000万円クラスの高収入の社員も少なくありません。
全国展開する大手企業では、人材の確保や教育、福利厚生の整備にも多額の費用がかかります。
こうした人件費が住宅販売価格に反映され、結果的に坪単価が上昇する要因となります。
一方、地域密着型の工務店は少数精鋭で運営していることが多く、人件費を抑えやすい傾向にあります。
理由2】モデルハウスの維持費がかかる
大手ハウスメーカーは、ほとんどの住宅展示場にモデルハウスを出展しています。
これにより多くの顧客に実物を見てもらえるメリットがありますが、その分維持管理にかかるコストは膨大です。
モデルハウスの建設費・人件費・光熱費などは、販売する住宅価格に上乗せされる形で反映されます。
一方で、工務店ではモデルハウスを設けない、もしくは1棟のみ運営しているケースが多いため、運営コストを抑えやすく、その分坪単価も安価になります。
理由3】広告宣伝費がかかる
大手ハウスメーカーは、テレビCMや雑誌広告、ネット広告など、広範囲にわたるプロモーション活動を積極的に行っています。
特にテレビCMでは、有名タレントやスポーツ選手を起用するケースも多く、その出演料や制作費は数百万円〜数千万円規模に及ぶこともあります。
このような広告宣伝費は、販売される住宅価格や坪単価に転嫁されるため、ハウスメーカーの住宅は全体的に価格が高くなりがちです。
一方、工務店は地域の口コミや紹介、限られた広告手段で集客している場合が多く、宣伝費が低いため坪単価に反映されにくくなっています。
坪単価を見る時に注意すべきポイント
坪単価は家づくりにおける重要な指標ですが、その見方を誤ると実際の予算や総費用にズレが生じる可能性があります。
「坪単価を見れば大体の費用がわかる」と思っていても、計算方法や含まれている項目が異なるケースがあるため注意が必要です。
ここでは、坪単価を見る際に特に注意すべき5つのポイントを紹介します。
ポイント1】延べ床面積と施工面積のどちらを基準にしているか
坪単価の算出には、「延べ床面積」と「施工面積」のいずれかが用いられますが、この違いによって坪単価に大きな差が出ることがあります。
延べ床面積とは、建物内部の居住空間の面積を指し、バルコニーや玄関ポーチなどは含まれません。
一方で、施工面積は建物全体の工事対象面積であり、ベランダ・ロフト・吹き抜け・玄関なども含まれるため、延べ床面積よりも広くなります。
その結果、施工面積で割った坪単価は延べ床面積に比べて安く見える傾向があります。
坪単価を比較する際は、どちらの面積を基準にしているかを必ず確認しましょう。
ポイント2】本体価格に「消費税」が含まれているか
坪単価を算出する際には、本体価格に消費税が含まれているかどうかも確認が必要です。
たとえば、本体価格が2,100万円(税抜)で、消費税10%を加えると2,310万円(税込)になります。
この税込価格を延べ床面積35坪で割ると、坪単価は約66万円です。
しかし、税抜価格で計算すれば坪単価は60万円となり、税の有無で6万円も差が出ることになります。
見積書やカタログでは「税別」「税込」表記が混在していることもあるため、税込かどうかを確認したうえで比較することが大切です。
ポイント3】本体工事費に住居備品を含めて計算しているか
一般的に坪単価は、建物本体の建築費用(本体工事費)を基に算出されます。
しかし一部のハウスメーカーでは、カーテン・照明・家具などの住居備品の費用を本体価格に含めて坪単価を計算していることがあります。
このような場合、設備が充実しているように見える反面、坪単価は割高になります。
ただし、引き渡し後すぐに住める「完成度の高い住宅」を提供するという点ではメリットもあります。
正確な比較を行うには、備品やオプションを除いた純粋な本体工事費ベースの坪単価も確認しておくことが重要です。
ポイント4】建材の量や施工工程はシンプルか・複雑か
家の形状が複雑であるほど必要となる建材の量や施工工程が増え、坪単価が上がる傾向にあります。
たとえば、凹凸の多い外壁や変則的な間取り、複雑な屋根構造などは、手間や時間、資材コストが増加する原因になります。
また、建物の形が複雑になると、構造上の強度確保にも配慮が必要となり、結果的に設計や施工費がかさむこともあります。
コストを抑えたい場合は、シンプルな長方形・正方形の総2階建てなど、施工効率のよい形状を検討するのがおすすめです。
ポイント5】ベースになる住宅商品・プラン・グレードは何か
ハウスメーカー各社では、複数の住宅商品ラインナップを展開しており、そのベースとなるプランの仕様によって坪単価が大きく異なります。
たとえば、標準仕様が充実している高グレードモデルであれば、同じ延床面積でも坪単価は高くなります。
反対に、必要最小限の設備に絞ったベーシックモデルを選べば、坪単価を抑えることが可能です。
したがって、住宅を比較する際は坪単価だけで判断せず、ベース商品ごとの性能・設備内容・構造の違いもあわせて確認しましょう。
価格と価値を天秤にかけて、自分にとって最適なバランスを見極めることが大切です。
坪単価を抑えて住居建築を進める方法
注文住宅では、理想を追い求めるあまり予算を大幅にオーバーしてしまうケースも少なくありません。
しかし、工夫次第で坪単価を抑えながら、満足度の高い住まいを実現することは可能です。
ここでは、コストをかけるべき部分と抑えるべき部分を見極めながら、坪単価を抑えるための具体的な方法を紹介します。
外観をシンプルなものにする
建物の外観デザインは、材料費や施工の手間に直結する要素です。
凹凸の多い外壁や複雑な屋根形状は、コストアップの原因になるため、直線的な総2階建ての形状など、シンプルな構造にすることで坪単価を抑えられます。
例えば、屋根を「片流れ」にすれば、使用する建材が少なくなり、工事の難易度も低下します。
外壁も面が少なければ効率的に施工できるため、材料のロスが少なくなり工事費の削減に繋がります。
外観をシンプルにすることは、コストダウンとメンテナンス性の両面においてメリットがあります。
あとから変えられる箇所は安価なものにする
住宅の内装には、後から比較的簡単にリフォーム・交換できる部分が多くあります。
たとえば、壁紙・フローリング・照明器具などは、初期段階で高級仕様にする必要はありません。
これらは消耗品的な側面もあるため、数年おきに張り替えたり交換する機会が訪れることが多いです。
そのため、初期費用を抑える目的で、まずは安価なものを選択し、将来的に予算に余裕が出てからアップグレードするのも一つの賢い方法です。
限られた予算の中では、長期的に使用する箇所や変更が難しい構造部分に重点的にお金をかけることが重要です。
1階と2階の床面積を同じにする
2階建て住宅を建てる際に、1階と2階の床面積を揃える(総2階プラン)ことで、建物全体の構造が単純化され、施工コストの削減につながります。
形状がシンプルになることで、基礎工事や屋根工事の効率が上がり、材料の無駄も減少します。
特にバルコニーのような突出部や、変則的な形の間取りは、防水・構造強度の対応などで余分な費用がかかる可能性があります。
そのため、コストを抑えたいなら、上下階が揃ったコンパクトな構造を基本にプランを考えるのがおすすめです。
住宅設備・仕様の要不要を精査する
キッチン・浴室・トイレなどの住宅設備は、グレードや機能によって価格差が非常に大きい部分です。
坪単価を抑えるには、必要以上に高機能な設備を選ばないという判断も重要です。
たとえば、シンプルで使いやすい設備を導入することで、初期コストを数十万円単位で削減できることもあります。
また、オプションで追加できる設備は、本当に必要なものだけに絞り込むことで、予算超過を防ぐことが可能です。
「あったら便利」ではなく、「生活に必要かどうか」で判断し、限られた予算を本当に価値のある部分に振り分けましょう。
複数社に見積もりをお願いする
住宅を建てる際は、必ず複数の建築会社・工務店から見積もりを取り、坪単価や総費用を比較検討することが大切です。
見積もりを依頼することで、同じ希望条件でも費用に差が出ることがわかり、適正価格の判断材料になります。
ただし、坪単価の安さだけで業者を選ぶのは危険です。建物の品質や設備のグレード、アフターサービスなど、総合的な信頼性も含めて判断しましょう。
可能であれば、住宅展示場や完成見学会に足を運び、実物の施工レベルやデザイン性を確認するのも効果的です。
比較検討を重ねることで、自分に合った建築会社を見つけやすくなり、無理のない予算で理想の家づくりが可能になります。
坪単価に関するよくある質問
ここでは、坪単価を調べたり比較したりする際に多くの人が疑問に感じるポイントを、Q&A形式でわかりやすく解説します。
坪単価の誤解や落とし穴を避けるためにも、事前に知っておきたいポイントをぜひチェックしておきましょう。
坪単価はどんな時に役に立つ?
ただし、坪単価だけで高級住宅・低価格住宅を判断するのは誤りです。
坪単価は、物件を比較・検討する際の目安の一つとして活用するのが適切です。
物件のデザインで坪単価は変わる?
坪単価を抑えたい場合は、構造部分にコストをかけ、外観や内装の装飾をシンプルにすることでコストダウンが可能です。
坪単価を求める時の基準は?
ただし、明確な算出ルールは存在せず、施工面積を基準に計算する業者もあります。
施工面積を使うと延べ床面積より面積が大きくなるため、結果的に坪単価は安く見える傾向があります。
実際の建築費に差があるわけではないため、どの面積基準で計算されているかを事前に確認することが重要です。
坪単価の意味を理解して物件購入を検討しよう
坪単価は、物件の価格や建築費用を比較するうえで重要な指標の一つです。
ただし、ハウスメーカーごとに算出基準や含まれる費用項目が異なるため、単純な金額比較には注意が必要です。
坪単価だけで判断せず、面積の基準(延床 or 施工)、設備の内容、消費税の有無なども含めて総合的に評価しましょう。
納得できる条件や価格を提示してくれる住宅会社を見極めることが、後悔のない家づくりへの第一歩です。
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