「マンション売却に消費税はかかるか?」という問いに対して先に結論を言うと、かからないものもあればかかるものもあります。
不動産売却における消費税は仲介手数料など、費用によってはかかるというものなので、一律で10%が課されるというわけではありません。
→不動産売却の仲介手数料はいくらが相場?なぜ払うの?根拠・計算方法を解説
この記事では、マンションを売却するときにかかる費用の中で、消費税がかかるものは何があるかを解説します。
マンション売却前に消費税について知ろう
消費税は、その名前通りに考えると「一般消費者が支払う税金」と考えてしまいがちですが、内容はそういう意味ではありません。
消費税の意味合いは付加されている商品によって違うのですが、わかりやすく言うと「付加価値を生むような取引(売買)に対して課される税金」ということです。
そのため、マンション売却の中でも、実行する価値が薄いと見なされる取引には課税がありません。
マンション売却時の付加価値のない取引とは?
また、消費税は直接国に納めるものではなく、課税事業者に一旦預ける場合が多い(間接税)です。
こうしたことを総合すると、課税される基準は以下の通りです。
- 取引相手が課税事業者である場合
- 付加価値を生む取引である場合
ただ、賃貸マンションの家賃のように付加価値を生む取引であっても社会的に配慮がなされていれば課税を免除される場合もあるので、一概に判別することは難しいです。
マンション売却で消費税の課税対象になるモノ
ここでは、マンション売却を行ったときに、消費税が課税されるものを3つ紹介します。
マンション売却では、主に以下のものに消費税が課税されます。
- 仲介手数料
- 専門家の依頼費用
- つなぎ融資の手数料
ここからは、先のリストで挙げた3つの課税対象について詳しく解説します。
仲介手数料
マンション売却を行うとき、仲介売却で物件の売買が成立した際は、取引の仲介を引き受けてくれた不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料の支払額は、売却益に応じて上限額が設定されており、手数料は、売却価格に対する一定のパーセンテージ(通常は3%+6万円)として計算します。
計上された手数料に対して、消費税を課税して最終的な価格を算出します。
なお、現在の消費税は10%なので、計上された手数料に対して10%の消費税を加算さして計上します。
専門家の依頼費用
マンション売却に関連して、税理士や弁護士などの専門家に依頼したときに支払う、報酬金やサービスに対する料金にも消費税が課税されます。
例えば、税理士に譲渡所得税の計算を依頼した場合や、弁護士に契約書の確認を依頼しる時に消費税が課税されます。
つなぎ融資
つなぎ融資とは、住み替えを目的に新しい物件を購入するための費用が手元にない場合、売却が完了するまでの間、金融機関から一定額まで融資してもらうことを指します。
つなぎ融資を利用するときに組むときは、住宅ローン同様、事務手数料や印紙代などの諸費用が発生し、消費税はこれら手続きを組む段階で発生します。
なお、手数料の具体的な計算方法や、消費税の計算方法は、融資してくれる金融機関によって異なるので、詳細は融資を申し込む金融機関に問い合わせて確認を取りましょう。
マンション売却で消費税が課せられないモノ
前節では、マンションの売却時に消費税が課税されるものを3つ紹介してきましたが、売却時に消費税が課税されないものもあります。
以下は、マンション売却で消費税が課せられないモノです。
- マンションの売却価格
- 譲渡所得税
- 不動産取得税
- つなぎ融資の利息
ここからは、先のリストで挙げた4つの非課税対象物について詳しく解説します。
マンションの売却価格
マンション売却するときに設定する売却価格には、消費税が課税されません。
通常、不動産を含め、消費物を購入したとき、消費税が課税されるのが一般的ですが、不動産売買においては、売主が買主に物件を譲渡するという見方ができ、これは、日本の消費税法において、不動産の譲渡は非課税取引としてみなされているためです。
よって、マンションを売却する際に受け取る金額は、提示されている状態のままで、その価格に消費税が上乗せされることはありません。
譲渡所得税
マンション売却により得られる利益にあたる譲渡所得に対しては、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税は、所得税の1つになるため、所得税法に基づいて税金が課税されます。
ついては、消税法とは別規定になる税金なので、売却益に消費税が課税されることはありません。
不動産取得税
不動産取得税は、売主から不動産を購入した方が支払い税金です。
この税金に対して消費税が課税されるといった2重課税になることはなく、先の譲渡所得税同様、別枠で規定が設けられています。
つなぎ融資の利息
住み替えなどで新しい不動産を購入する資金が出基にないときに利用するつなぎ融資の場合、融資を受ける際に組む手続きにのみ消費税が課税され、融資額に加算される利息には消費税が課税されません。
利息に消費税が課税されないのは、金融取引における一般的なルールで、利息は消費税の対象にされていません。
増税前にマンションを売却したほうがお得?
上記の通り、マンションの価格自体に課税はされませんが、仲介手数料を中心とする費用は消費税課税の対象となります。
売り手にしてみれば、利益は増減しない一方で費用が増えるので、増税前に売却したほうがお得ではあります。
しかし、マンション売却によって入る利益からすれば、消費税が8%から10%になったことによる出費の増加など微々たるものです。
増税の影響を心配するよりは、マンションが最も高額で売れるタイミングで売り出すことをおすすめします。
最も大きな費用である仲介手数料も課税対象
マンション売却でかかる費用のうち、最も金額が高いのは仲介手数料です。
仲介手数料は売却価格×3%+6万円で表されるため、3000万円でマンションを売却した場合、96万円となります。
更に消費税の10%(2023年時点)も課されるため、最終的な金額は105.6万円になります。
業者によっては値下げできるところも
上記のように、かなりの高額となってしまう仲介手数料ですが、業者によっては値下げをしてくれるところもあります。
こうしたサービスを提供している業者の多くが条件としているのが、媒介契約時に専属専任媒介か専任媒介を選ぶこと、あるいは一度同じ業者を利用して成約までたどり着いたことなどが挙げられます。
しかし、このようなサービスを提供している業者が必ずしもマンションを高額売却してくれるとは限らないので注意が必要です。
値切り交渉は依頼時におこなっておこう
売却価格×3%+6万円という仲介手数料の金額は、法律で定められた上限額となっています。
この金額を支払わなければならないという決まりはないので、価格交渉をおこなうことも可能です。
しかし、仲介手数料は業者に販売活動を委託する報酬という意味合いもあるので、なかなか値切りできるものではないということは知っておきましょう。
また、売買契約が締結されてから交渉をはじめると、トラブルが起きやすくなってしまうので、なるべくマンションの査定を依頼する段階で確認しておくべきでしょう。
買い手の事情を考えれば増税前の売却がよし
増税により出費が増えることを気にするよりも、実際に業者に値引き交渉を持ちかけたほうがお得ではあります。
しかし、消費税増税の影響を受けるのは、売り手だけではありません。
買い手も、住宅ローンの手数料や保証料などが増額されてしまいます。
買い手は売り手よりも時期にこだわりがないことが多いので、良い相手を見つけるには増税前にマンションを売り出すことをおすすめします。