登記事項証明書とは?登記簿謄本との違いと取得方法・書類の書き方を徹底解説
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不動産取引をおこなう際は、登記事項証明書の理解が不可欠になります。
ただ、不動産取引をする機会は人生でもそこまで多い訳ではないので、どんな書類なのか、どう取得すれば良いのか分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、登記事項証明書について初心者にも分かりやすく解説いていきます!
登記事項証明書は不動産売却で必須の書類
登記事項証明書は、不動産の登記手続きで必ず必要になる書類のことです。
登記というのは、いわば不動産の権利を証明する手続きのことです。
不動産を所有している方は必ずしもその部屋に住んでいる方とは限りません。例えば賃貸物件の場合、部屋の所有権は入居者ではなく大家さんに帰属します。
ただ、もし権利を証明する制度がなければ、入居者が「自分の部屋だ」と言えば周囲は何となく信じ込んでしまいますよね。
こうした状況を避けるために登記という制度があるのです。
特に、不動産売却では登記情報は必ずチェックしなければいけません。そうでないと、本当の持ち主ではない方が勝手に不動産を売っても良いことになってしまいます。
また、親の不動産を兄弟間で相続したり、夫婦連名で新居を購入したりした 場合は、持ち分に応じて複数人の権利が認められています。
夫婦で購入した家の所有権は夫・妻のどちらにもあるので、夫が妻の意向を無視して処分することはできません。
このように、自分勝手な取引をさせないためにも登記は重要なのです。
相続物件の登記が疎かになっているケースも多い
物件の所有権が変更された時は、原則として所有権の移転登記が必要になります。
ただし、物件を相続した時に必ずしも移転登記がおこなわれている訳ではありません。
相続登記は相続からいつまでにやらないといけないという決まりがなく、実施しなくても刑罰には問われないので、そのまま放置してしまう方が非常に多いです。
相続登記の義務化がされていないからこそ、現在社会問題になっている空き家問題に施策をしようとしても現在の所有者が把握できず、行動がおこせないという問題も起こっています。
不動産売却などの取引をする際は、亡くなった相続人名義のままでは手続きを進めることができないので、司法書士に依頼するなどして確実に相続登記を実施する必要があります。
登記事項証明書とは?登記簿謄本との違いと取得方法・書類の書き方を徹底解説登記事項証明書と登記簿謄本の違いは保管の形式のみ
登記事項証明書という名前に聞き覚えがなくても、登記簿謄本という名前は聞いたことがあるかと思います。
登記事項証明書と登記簿謄本の内容に違いはありません。
どちらも1筆の土地や1個の建物ごとの所在地・所有者などの情報が記載されており、特に不動産売却では所有者の証明に利用されます。
もともとは登記簿謄本という名前でしたが、これは登記用紙に事項を記載・保管されて登記所が管理する紙の資料であり、まさに謄“本”という様相でした。
現在では登記事項をコンピュータ処理し、データで管理ができるようになっています。
このようにデータ管理されている登記事項を、登記事項証明書と呼びます。
つまり、昔ながらの紙媒体を登記簿謄本、データ化された資料を登記事項証明書と呼んでいるだけで、内容に大きな差はありません。
登記簿謄本の取得を要求されるケース
登記事項は年々更新されていくので、ほとんどの登記簿謄本はある段階で登記事項証明書としてデータ化されています。
ただ、登記簿謄本の中には一部データ化されていないものもあります。
これは閉鎖謄本といって、ある時期で更新が止まってしまった登記簿謄本のことです。
このタイプの登記情報を取得する場合は、別途で手続きが必要になるので注意しましょう。
また、不動産会社に「登記簿謄本の取得をお願いします」とお願いされるケースは2020年現在もかなり多いですが、これは単に慣習上、昔の名前で呼んでいるだけなので、登記事項証明書を取得すればOKです。
登記事項証明書は大きく分けて5種類
登記事項証明書は、大きく分けてこちらの5種類となります。
- 全部事項証明書
- 現在事項証明書
- 一部事項証明書
- 閉鎖事項証明書
- 登記事項要約書※類似資料
一口に登記事項証明書といっても用途によって種類が異なり、どの書類が必要か分かっていないと、非常に面倒な事態に見舞われてしまうので注意しましょう。
①全部事項証明書
全部事項証明書は、その名の通り登記されてから現在までの所有権移転、抵当権の設置・抹消など様々な情報が全て記載されています。
幅広い用途で利用できるタイプで、迷った時はこちらを取得しておけば、ほぼ大丈夫です。
②現在事項証明書
現在事項証明書には、現在効力のある登記事項のみが記載されています。
つまり、全部事項証明書から、過去に抹消された抵当権の設置記録などを省いたものになります。
情報がすっきり整理されているので、見やすくて便利です。
登記事項証明書は司法書士などにもチェックされるので、差し押さえ記録など共有したくない情報が過去にある場合は、現在事項証明書の利用をおすすめします。
③一部事項証明書(何区何番事項証明書・登記簿抄本)
一部事項証明書は、全部事項証明書のうち、一部の事項のみを抜き取った書類になります。
例えばあなたが分譲マンションのオーナーである場合、全体事項証明書を取得すると、マンション1棟分(全部屋分)の登記事項の中から、自分の登記事項を見つけださなければいけません。
分譲マンションの登記事項を全部事項証明書で確認することに関しては何の問題もないですが、資料が何枚にもなって管理やチェックが面倒だという方に関しては、一部事項証明書を利用することをおすすめします。
④閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書とは、全部事項証明書に記載がない、閉鎖された不動産の情報のことです。
例えば、とある土地の全部事項証明書は残っていても、その上建っていた、解体された建物の情報は残っていません。
すでに消滅している不動産の記録は閉鎖登記簿に記載され、土地は50年、建物は30年記録が残されます。
⑤登記事項要約書
登記事項要約書は、厳密に言えば証明書ではありません。
現在でも効力のある登記事項が掲載されていますが、あくまで情報が要約されているだけで、証明書として利用はできないので注意しましょう。
登記事項要約書は、オンラインの登記情報提供サービスを使って簡単に取得することができます。
→登記情報提供サービスの使い方を解説!無料で誰でも登記簿を閲覧できる?登記事項証明書の見方を徹底解説
登記事項証明書には、所有者の名前や不動産の詳しい情報だけでなく、他の様々な情報も記載されています。
登記事項証明書は、3つの部分に分かれています。
- 表題部
- 甲区欄
- 乙区欄
それぞれの内容を見ていきましょう。
①表題部
表題部には、以下のような基本情報が掲載されています。
- 土地:所在、地番、地目、地積など
- 建物:所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積など
意外に見落としがちなのが土地の地目、建物の種類です。
これは、不動産がどんな用途で利用されているのかを表す項目であり、例えば地目が「田」「畑」となっている場合は農地転用をしないと宅地利用することができないので注意しましょう。
建物と敷地部分の面積が分かれば、建蔽率の算出も容易におこなうことができます。
②甲区欄
甲区欄には、所有権に関する内容が細かく記載されています。
今の持ち主は誰で、いつどのような目的(売買や相続など)で取得したかが一目で分かるので非常に便利です。
③乙区欄
乙区欄には、所有権以外の以下のような権利について詳しく記載されています。
- 抵当権
- 担保権
- 地上権
- 賃借権
- 先取特権…
こちらの権利関係と、それに関係する債権者などの記載もあります。
甲区欄と乙区欄をあわせて権利部と呼ぶこともあります。
登記事項証明書を取得する2種類の方法
登記事項証明書は、法務局で取得する方法とオンラインで取得する方法の2種類があります。
法務局で取得する方法
法務局に赴いて申請書を提出し、手数料を支払って取得する方法です。
登記事項証明書1通につき、600円の手数料がかかるので注意しましょう。
法務局の受付時間は平日8:00~17:15となっています。
法務局に赴いたら、証明書自動発行機で、以下の流れで手続きをおこないます。
- 「不動産登記」を選択
- 案内に従って入力する
- 氏名を入力
- 整理番号票を受け取る
- 収入印紙を購入
- 整理番号票と引き換えに申請用紙を受け取り
- 収入印紙を貼って提出
オンラインで取得する方法
現在はオンラインで登記事項証明書を申請する方法もあります。
自宅から申請できて便利ですが、オンライン取得も平日8:30~21:00に受付時間が限定されているので注意しましょう。
オンライン申請後に郵送受け取りをする場合は、1通につき500円の手数料がかかります。
管轄法務局を調査する方法
登記事項証明書を受け取るには、その物件の管轄法務局を探して、赴く必要があります。
法務局のことなど日常生活で意識することはないので、ほとんどの方が管轄法務局の場所を知らないと思います。
ここからは、管轄法務局を調査する方法を紹介します。
法務局のホームぺージをチェックする
法務局のホームページで、各都道府県の管轄法務局の住所や電話番号が記載されています。
その他、地図なども掲載されているので、赴く際は参考にしましょう。
管轄法務局に直接連絡する
ホームページを見れば管轄法務局のありかは記載されていますが、登記所の統廃合や地域の合併などで、ホームページに記載されている法務局で必ずしも登記事項証明書を取得できるとは限りません。
スムーズに取得をするために、一度電話連絡しておきましょう。
登記事項証明書の申請書を記載する方法
登記事項証明書を取得する際は、申請書を記載して提出する必要があります。
請求書欄 | 記載する内容 |
---|---|
請求人(住所・氏名) | 取得したい不動産の所在ではなく、請求人本人の氏名と住所を記載 |
種別 | 土地OR建物を選ぶ |
|
所在地を入力 |
地番 | ブルーマップで調査するか、法務局に連絡をして確認 |
家屋番号または所有者 | ブルーマップで調査するか、法務局に連絡をして確認 |
請求数通 | 必要な数 |
こちらを、案内に沿って記入していきます。
申請書を記載するには地番と家屋番号を知っておく必要がある
登記事項証明書の申請書を作成するには、地番と家屋番号の確認が必要になります。
地番・家屋番号はブルーマップと呼ばれる地図を利用して確認することができますが、市販での購入はほぼ出来ず、高額になるので注意しましょう。
管轄法務局や大規模な図書館で閲覧することもできますが、数が少なく、順番待ちで並ぶ場合も多いので注意しましょう。
登記情報提供サービスなら無料でブルーマップの閲覧が自宅から出来るので、事前にこちらを確認しておくことをおすすめします。
また、もしブルーマップを閲覧する手立てがない場合は、管轄の法務局に連絡をして、共有してもらう必要があります。
不動産売却時は早めに登記事項証明書を取得しておこう
不動産売却時は、早めに登記事項証明書を取得しておく必要があります。
登記上の相続人が別人のままだと売却できないので、早めに司法書士へ依頼して登記の変更をする必要があります。
また、登記事項証明書で抵当権の設置が確認できる場合は、住宅ローンの残債を完済した上で、抵当権の抹消登記をする必要があります。
更に、不動産の引き渡しをした後は、所有権を売主から買主へ移転させる必要があります。
このように、不動産売却に必要な手続きは登記事項証明書がないと確認できない他、所有者名が異なると売却することすらできない可能性があります。
登記事項証明書の取得は売主本人がおこなうことも多いので、早めに取得をしておきましょう!