
住み替えローンとは?利用条件や金融機関に申し込む流れを解説
住み替えローンは、その時点で自宅を売ってもローンを完済できないという場合に、そのローンの残り分と新しい住宅の購入資金をまとめて借りられるサービスです。
住み替えローンは急な住み替えの際にも非常に便利な仕組みである一方、注意点もあります。
そこで住み替えローンの特徴や注意点などについて詳しく解説していきます。
→住み替え成功ガイド!不動産の買い替えで後悔しないポイント・注意点を徹底解説
住み替えローンは残債と購入資金をまとめて貸してくれる
住み替えローンはそれまでの住宅ローンの残債と、次に購入する住宅の購入資金をまとめて貸してくれる仕組みになっています。
住宅ローンが残っている状態で何かしらの理由があって、引っ越さなければならなくなった時に非常に役立つ仕組みと言えるでしょう。
住宅ローンは20年以上にわたって返済計画が立てられていることが多いですが、その20年の間に引越しの必要性が出てくることは十分に起こり得ます。
ローンを残した状態で引っ越すとなると残債の返済と新規購入の費用を両方とも用意しなければならないため、住み替えローンを利用しない限り極めて大きな負担が発生します。
しかし、住み替えローンを利用した場合にはそれらの費用を分割して支払うことが出来るので、大幅な負担軽減となります。
売却益を手元に残したい方におすすめ
住み替えローンの大きなメリットの1つは売却益を手元に残せることにあります。
住み替えローンでは売却益は教育資金や資産運用などに使うことが出来ます。
まとまったお金を手元に用意したいという状況においても、このメリットは大きいと言えるでしょう。
ローンが完済できていない状態で手元に売却益を残しつつ、住宅を購入するには住み替えローンを利用する以外に方法はないと言っても過言ではありません。
昨今では老後の資金を心配して、売却益を手元に残したいという方が増えつつあります。
住み替えローンは残債を払いきれない人が使える
住み替えローンは残債を払いきれない人を前提とした仕組みです。
残債を払いきれるのであれば、完済したあとに新しい住宅ローンを組めば良いので、住み替えローンを利用する必要がなくなります。
親族などに資金援助を受けて残債を完済できる場合には、あえて住み替えローンという方法を選択しないというケースもあります。
住み替えローンのメリットは残債と新しい住宅の資金をまとめられることなので、その恩恵を受けられるかについて確認しておくようにしましょう。
残債を支払いきれるかどうかは個人個人で異なるので、状況にあった手段を選択することが大切です。
自宅を売って完済できる人は住み替えローンが使えない
住み替えローンはその性質上、自宅を売っても住宅ローンの一部が残ってしまう方限定の制度です。
例えば残債が1000万円で自宅の売却価格が2000万円というケースにおいては、残債よりも売却価格が大きいので住み替えローンを利用することが出来ません。
住宅ローンの残債が住宅の売却価格よりも大きい場合であれば、住み替えローンを活用することが出来ます。
住み替えローンを利用できるかどうかを判断する上では、その時点での自宅の価格を知ることが重要となります。
自宅の価格が分からなければ、残債との比較が出来ず、住み替えローンの利用の可否を判断しにくくなるからです。
自宅を売っても残債が完済できないと見なされれば、住み替えローンの利用が認められます。
住み替えローンを借りる流れ
ここからは住み替えローンを借りるまでの流れについて解説していきます。
実際に住み替えローンを利用する段階になってからではなく、あらかじめ流れを知っておくことが後々の役に立つ可能性があります。
それゆえに流れを知るメリットは大きいと言えるでしょう。
どうすれば住み替えローンを利用できるのか分からないという方にとってうってつけの内容です。
①まずは不動産会社に相談する
住み替えローンを利用したい場合にはまず不動産会社に相談することが重要となります。
不動産会社であれば、その方の自宅の売却価格を査定することが出来ます。
住み替えローンを組むにあたっては前の住宅の売却、新しい住宅の購入という大きな手続きを行うことになりますが、そのためにも不動産会社にする必要性が高いと言えます。
売却の際には不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。
住宅ローンの残債についても不動産会社から金融機関を通じて確認することが出来ます。
不動産会社に相談することは住み替えローンを利用するためのスタートを切るために欠かせないことと言えるでしょう。
②税理士に相談する
住み替えローンを利用する際には自宅の売却と、物件の購入を行うことになるので税金のことも考慮しておく必要があります。
もしも、売却価格がその住宅を購入したときよりも高かった場合は売却によって利益を得たと見なされるので、譲渡所得税が発生します。
しかし、住み替えローンを利用するときはローン残債よりも売却価格が安いことが前提となるので、譲渡所得税が発生することはほとんどありません。
新しい物件を購入する際には消費税がかかります。
このあたりの税制が少し分かりにくいこともあるので、税理士に相談することが大切です。
場合によっては税制を上手く活用することで、お得に住み替え出来る可能性もあります。
③売買契約書に住み替えローンを使う旨を盛り込む
自宅を売却する際には売買契約書を作成することになります。
この売買契約書に住み替えローンを使用する旨を記載しておく必要があります。
もしも、住み替えローンの記載を忘れていた場合住宅ローンの残債の支払いの取り扱いが曖昧になってしまい、後々のトラブルに繋がってしまう恐れもあるので必ず記載しておくようにしましょう。
買い替え特約を契約書に記載するのが一般的
住み替えローンについては売買契約書の買い替え特約、ローン特約という項目に記載するのが一般的です。
この記載をしておくことにより、物件の購入者は残債を取り除いた状態で物件を手にすることが出来ます。
売り手側はこの残債と新規物件の購入資金を合算して、住み替えローンの契約を結ぶことになります。
もしも、住み替えローンの審査に落ちてしまった場合には買い替え特約の契約が解除されるので、事前に審査をクリアできるかどうかを調べておくことは非常に重要と言えるでしょう。
④売却と購入を同時におこなう
住み替えローンを利用することを前提にしている場合、売却と購入を同時に行わなければなりません。
例えば住宅の売却を行ってから、新しい物件を探すというようにすると間隔が空いてしまいます。
間隔が空いてしまうと、その際の住宅ローンの残債はどうするのかという問題が発生することになります。
売却と購入に間隔が空かなければ、円滑に住み替えローンとして支払い始めることが出来ます。
つまり、自宅を売却する時点で既に購入する物件を見つけておくことが重要であり、手続きをややこしくしないためにも売却と購入は同時に行うようにしましょう。
住み替えローンを使うメリット
ここからは住み替えローンを使うメリットについて詳しく解説していきます。
住み替えローンを利用しようかどうかで悩んでいる方には特にうってつけの内容です。
このローンのメリットは資産運用とも大きくかかわる部分があります。
自宅を売却する可能性があるときにも住み替えローンのメリットを確認することは有効と言えるでしょう。
自己資金を切り崩さずに住み替えが出来る
住み替えローンでは残債も購入資金もどちらも合わせてローンにすることが出来ます。
そのため、一括での大きな出費はほとんど発生しません。
ゆえに自己資金を切り崩さなくて良いというメリットがあります。
手元の資金が心もとない場合や突然どうしても引っ越さなければいけなくなった場合に特に役立ちます。
また、子供の教育資金や老後の資金として手元にお金を置いておきたいという方にとってもメリットが大きいと言えるでしょう。
何かあった時に備えて自己資金を温存できるということは安心にも繋がる要素になります。
ローンが完済できなくても住み替えが出来る
住宅ローンが残っている場合にはそれを完済しなければ、住み替えることが出来ないというのが本来の形でした。
しかし、住み替えローンの場合はローンの完済が出来ていなくても住み替えることが出来ます。
これは住み替えローンならではのメリットです。
ローンをすぐに完済することは出来ない一方で、どうしても引っ越さなければならない事情があるという局面において非常に使いやすいと言えるでしょう。
毎月の返済額は残債と新規購入の資金を合わせて決定されますが、住宅ローンが二重になるよりも負担が少ないのが一般的です。
住み替えローンを使うデメリット
便利な住み替えローンではありますが、デメリットもあることに注意が必要です。
そこでここからは住み替えローンのデメリットを解説していきます。
デメリットを正しく知っておくことにより、住み替えローンを利用するかどうかの判断がしやすくなります。
既に住み替えローンの利用を決定した場合でも、デメリットを確認しておくことは重要と言えるでしょう。
売買の決済を同じ日にしないといけない
住み替えローンのデメリットの1つは売買の決済を同じ日にしなければならないことです。
売却を決定してから段階的に購入する物件を決めるということは出来ません。
あらかじめ売却先と、新しく購入する物件を決めておいてその上で同日での決済を行う必要があります。
事前に準備をしておけばそれほど大きなデメリットにはなりませんが、通常の売買手続きよりはやや手間が多いともいえます。
物件には高く売れるタイミングや安く買えるタイミングが存在します。
しかし、住み替えローンの場合は売却と購入が同日なのでタイミングを調整しにくい点に注意しておきましょう。
新居を選ぶ時間が少ない
新居を選ぶ時間が少ないこともデメリットです。
自宅を売却する日が決まったらその日までに新居を決定する必要があります。
一般的な住み替えでは、自宅を売却した後祖父母の家などに一旦住ませてもらって、ゆっくりと新居を探すといったことが可能です。
しかし、住み替えローンを利用する場合にはそのようなことは出来ません。
あくまで売却の予定日が新居を決めるタイムリミットになります。
新居を購入することに時間がかかる場合には売却する日を遅らせて同日になるように調整することも物理的には出来ますが、売り時を逃すことになりかねません。
時間的余裕のない中で決めていく必要性があると言えるでしょう。
住み替えローンを使う際の注意点
住み替えローンには注意点もあります。
後々に困ることのないように注意点を知っておくことが大切です。
そこでここからは住み替えローンの注意点について解説していきます。
これから住み替えローンを利用する方はもちろん、住み替えローンの利用を開始したばかりという方にも役立つ内容となっています。
便利だからといって借りすぎはNG!
住み替えローンは便利なのでついつい借り過ぎてしまうという人もいます。
しかし、住み替えローンでは新居の購入価格、あるいはそれ以上の金額を借りることになります。
背負うローンが非常に大きくなる可能性があることに注意しておきましょう。
毎月の残高が減るペースよりも、築年数が経過したことによる物件の価値低下のペースの方が基本的に早い点にも留意しておく必要があります。
もしも、将来的にローンを返済しきれなくなった場合、家を売ったとしてもその残債分を回収できない可能性が高いです。
あくまで計画的に利用することが欠かせません。
返済期間をムダに延ばさない
住み替えローンも他のローンと同じく、借入残高に利息がかかる仕組みになっています。
返済期限を無駄に伸ばしていると残高があまり減らないので、トータルの利息負担がどんどん大きくなっていきます。
それゆえに返済期間を長くし過ぎないことが大切です。
収入や固定費用などを勘案し、返済期間を慎重に決定する必要があります。
できるだけローンの頭金を増やす
ローンの頭金を多めに設定しておくことは非常に大切です。
頭金は借入額にカウントされないので、頭金として支払った部分に利息はかかりません。
頭金を多くすれば多くするほど、完済までの支払金額を減らすことが出来ます。
頭金を多くするということは住み替えローン契約時に一度大きな負担が発生するということでもありますが、将来的に自分を助けることに繋がります。
自分の収入や状況によって頭金の額を調整することは重要なことと言えるでしょう。
どれくらいの頭金が妥当か分からないときには、金融機関で相談して試算してみることも有効です。
住み替えローンは便利だがリスクもある
住み替えローンはローンが残った物件から新しい物件に住み替える際に便利なローンです。
このローンがなければ、住み替え出来ない状況も起こり得ます。
また、手元に資金を残せることも大きな魅力と言えるでしょう。
一方で必然的にローンの支払い残高が大きくなってしまうというリスクもあります。
決して闇雲に活用するのではなく、慎重に使うことが重要となります。
住み替えローンを利用するのがベストか分からない時には、金融機関などで相談してみましょう。
