実家を売却したら確定申告すべき?不要なケース・必要なケースを解説
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相続したいらない実家を売りたいけど、手続きが面倒なのか心配…という方も多いと思います。
特に注意したいのが、確定申告の有無です。
会社員の人は確定申告自体の経験が少ないので、何から始めれば良いのか分からないことでしょう。
今回は、実家を売却した時に確定申告は必要なのか、必要な場合はどう申告すれば良いかを詳しく、分かりやすく解説していきます。
※実家売却の手順は、こちらに詳しくまとめています。
実家を売却しても確定申告が不要なケースがある
実家を売ったからといって、絶対に確定申告が必要なわけではありません。
売却に確定申告が必要なのは、売却益が購入時の費用を超えた時に限られます。
つまり、実家を新築で建てた費用よりも、売って得た金額のほうが大きい時に確定申告が必要なのです。
ただ、こうしたケースは多くありません。どんなものでも新品を買うより中古で売るほうが安くなるのが普通ですし、戸建て住宅は築年数が1年経つごとに価格が大きく下がります。
ただ、近年はオリンピック需要によって地価が高騰しているので、このケースが起こりやすくなってはいます。
特に2008年のリーマンショック直後に買った実家をオリンピック前に売る場合は、申告が必要になる可能性が高いので注意しましょう。
→不動産価格は今後どう推移する?市場・市況の動向・価格高騰がいつまで続くかの見通しを徹底解説【2024年最新】実家売却で確定申告が必要な2パターン
実家売却で確定申告が必要になるのは、こちら2つのケースです。
- 実家売却で譲渡益が発生したケース
- 実家売却の特例を利用したケース
それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
①実家売却で譲渡益が発生したケース
確定申告が必要なのは実家を売って利益が出た場合と言いましたが、成約価格=利益という訳ではありません。
成約価格から必要経費などを差し引いて残った金額が、利益(譲渡益)となります。
売却益が出た時は、この譲渡益に税金が課されます。(譲渡税)
譲渡税は所得税と住民税に上乗せされる形で課されますが、そのうち所得税の上乗せ分を納付するために、確定申告が必要になります。
譲渡所得税は、以下の式で計算します。
譲渡所得税=譲渡所得×税率
また、譲渡所得は以下の式で求めることができます。
譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)
取得費は実家を取得するためにかかった費用のことで、譲渡費用は実家を売る際にかかった諸費用の合計となります。
次に税率ですが、こちらが売却した年の1月1日までが実家購入から5年以内(短期)か5年超(長期)かによって変わります。
※混同しがちですが、相続した実家の所有期間は親が購入してから、相続した子が売却するまでの期間を指します。
所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(5年以内) | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% | 20% |
譲渡所得税のより詳しい内容はこちらにまとめているので、併せてお読みください。
→不動産売却でかかる税金はいくら?費用の計算方法から節税・控除のポイントまで分かりやすく解説
譲渡益を計算してプラスの値なら、上記の計算で出した税額を納付するため、確定申告が必要になります。
②実家売却の特例を利用したケース
譲渡所得税が発生しても、以下のような特例を使えば課税を減免することができます。
- 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特例
- 所有期間が10年超の不動産を譲渡した場合の軽減税率の適用
- 居住用財産の買い替え特例
- 空き家売却の特例
例えば、上記のような特例を使って、税金の支払いを0にすることも可能です。
→不動産売却の3000万円特別控除とは?制度の仕組みと適用条件・必要書類を徹底解説
ただ、こうした特例はあくまで控除なので、譲渡益が発生したことにはかわりません。
そのため、控除を利用した場合でも確定申告は必要になります。
確定申告期間は実家売却の翌年2月中旬~3月中旬
譲渡益が発生したら確定申告をおこないますが、申告する期間があらかじめ決まっているので注意しましょう。
申告期間は暦の関係上毎年少しずつ違いますが、基本的には翌年2月中旬から3月中旬までです。(2024年の申告期限は2月16日(金)~3月15日(金)
この期間内に書類を作成して、管轄の税務署に提出、納税をします。
売却から確定申告まで期間が空くので、忘れないようにしましょう。
また、期日直前は税務署に人が殺到するので注意しましょう。
実家売却後の確定申告の流れ
実家売却後の確定申告は、基本的にこちらの3ステップで進めていきます。
- 必要書類の準備
- 確定申告書の作成
- 書類一式+納付額を税務署へ提出
ではここから、手続きを1つ1つ見ていきましょう。
【Step1】必要書類の準備
まず、確定申告に必要な書類の準備を始めましょう。
確定申告に必要な書類は、こちらの6種類です。
- 確定申告書B様式
- 所得税青色申告決済書(不動産所得用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 実家を購入した時の契約書
- 実家を売却した時の契約書
- 手数料、印紙税などの領収書
上記のうち、前半の3つは国税庁のHPからダウンロードして取得するのが簡単です。
後半の3つに関しては自分で用意しなければいけないので、早めに準備をしておきましょう。
【Step2】確定申告書の作成
次に、確定申告書の作成にとりかかります。
申告書の作成は、以下の7ステップで進めるとスムーズです。
- 国税庁公式サイトから書類をダウンロード
- 譲渡所得の内訳書を作成
- 申告書B第一表の左半分を記入
- 申告書B第二表を作成
- 申告書第三表に内訳書の記載を転記
- 第三表の右上に算出した税額を記入
- 申告書B第一表の右側を記入して完成
不動産の確定申告は難しく、混乱してしまうサラリーマンの方も多いと思います。こちらで書き方を分かりやすくガイドしているので、ぜひ参考にしてください。
→不動産売却の確定申告は必要?申告の流れ・必要書類の書き方を完全ガイド【決定版】
【Ste3】書類一式+納付額を税務署へ提出
書類作成が完了したら、納付額と合わせて税務署で手続きをします。
注意してほしいのが、ここで支払ったのはあくまで所得税の上乗せ分であり、住民税の上乗せ分はまだ納めていないということです。
住民税に関しては納付後の5月に書類が送られてくるので、届き次第納めていきます。
1年間にかかる住民税は6月、8月、10月、翌1月の末日の4期に分割して納めるのが一般的です。※末日が土日祝日の場合は翌営業日が期限になる。
実家売却から期限内に確定申告しないとどうなる?
実家を売って売却益が発生したら期限内の確定申告が必須です。
ただ、手続きに不慣れだったり、忘れていたりして期限を過ぎてしまう場合も考えられます。
確定申告の期限を過ぎると、どんなリスクがあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
滞納税・無申告課税がかかる
納付期限までに税金が払えないと、追加で滞納税がかかります。
滞納税は、以下の式で計算できます。
- 【Step1】①納付すべき税額(10,000円未満切り捨て)×割合(年7.3%と「特例基準割合+1%」のうち、低い方を採用)×期間(日数)
- 【Step2】①納付すべき税額(10,000円未満切り捨て)×割合(年14.6%と「特例基準割合+7.3%%」のうち、低い方を採用)×期間(日数)
- 【Step3】①の金額+②の金額=延滞税額(100円未満切り捨て)
延滞税は、延滞に気づいて申請した後に申告した人に対してかかるペナルティです。
一方、期限を1か月過ぎても連絡のない人に対しては、故意に申告逃れをしていると考えて更に無申告加算税が発生します。
これは、本来納付するべき金額の50万円までは15%、50を超える金額には20%課税額が上乗せされる仕組みです。
例えば、本来の納付額が100万円の場合は、50万円×115%+50万円×120%=117万5000円を払わないといけなくなります。
ただ、自主的に期限後申告をすれば、加算税額は5%まで軽減されます。
それでも申告をしない場合は、脱税行為で逮捕されることもあります。
金欠や病気で申告が遅れる場合の対処法
金欠で納付が出来ない場合は、分割して支払うことも出来ます。
期限内に半分を納め、後にもう半分を納めれば、滞納金を少なく抑えることができます。
また、災害や病気、けが等の特殊な事情がある場合は、猶予を認めてもらえることがあります。
猶予期間中に税金を納めれば、延滞税はかかりません。
確定申告の不明点は専門家に相談しよう
確定申告をしたことのある人自体が少数派ですが、不動産売却後の確定申告を経験した人となると更に限られてしまいます。
マニュアルを見ながら確定申告の準備を進めていても、分からないことが出てくることでしょう。
疑問が出たらそのままにせず、不動産会社や税理士に質問するようにしましょう。