空き地売却にかかる税金を徹底解説!最も税金が安くなる売り方と最新の税制・特別控除について解説
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空き地を売ると、多額の税金がかかってしまいます。
多い時は売却価格の1割ほどが税金の支払いにあてられるので損です。
また、それだけでなく税金の支払いのために面倒な手続きをしなければいけません。
今回は空き地売却にかかる税金の内容と納め方、更に税金をお得にするにはどうすれば良いかまで徹底解説していきます。
➝空き地を失敗せず売る方法!売却のコツから税金対策まで完全網羅空き地売却にかかる税金は基本的に3種類
空き地売却にかかる税金は、基本的にこちらの3種類です。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
今回は、それぞれの税金の内容と計算方法、支払い方法を詳しく解説していきます。
①印紙税
印紙税は、公平・公正な不動産取引を国や自治体が担保してくれた見返りとして支払う税金です。
印紙税はその名の通り、売買契約書に印紙を貼り付けて納付をします。
貼り付ける印紙の価格は、空き地の売却価格に応じて以下のように決まっています。
不動産売却代金 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
印紙はコンビニでも購入できますが、印紙税で使うような高額の印紙は手に入らない可能性もあります。
多くの人は多くの印紙を揃えている郵便局で買うことが多いようです。
②登録免許税
登録免許税は、空地を売った際に所有権を売主から買主へ移す時(所有権移転登記)に必要な税金です。
登録免許税も、不動産の売却価格によって以下のように決まっています。
不動産タイプ | 課税額 |
---|---|
建物 | 売却価格の1000分の20 |
土地 | ※売却価格の1000分の15 |
※2019年4月1日から1000分の20に減額
2019年3月に空き地を3000万円で売った時の免許登録税は、45万円となります。
所有権移転の登記は自力でおこなうこともできますが、多くの人は司法書士に手続きを依頼します。
司法書士への依頼料が約1万円、作業1件を完了するにつき報酬を約5,000円支払うようになるので、免許登録税と合わせると出費が意外に高額です。
③譲渡所得税
空き地の購入費用を売却価格が上回った時、譲渡所得税が発生します。
譲渡所得税は、所得税と住民税に上乗せされる形で課税されます。
ちなみに、課税額は以下の計算式で求めることができます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
税率は、売った不動産の所有期間が5年以下(短期)か5年超(長期)かによって大きく変わります。
【短期譲渡所得】 | 【長期譲渡所得】 | |
---|---|---|
所得税 | 30% | 15% |
住民税 | 15% | 5% |
譲渡所得税が発生したら 翌年の2~3月に管轄の税務署で確定申告の手続きをおこない、まず所得税の上乗せ分を支払います。
その後、1年をかけて増額した住民税を納めていくようになります。
➝不動産売却時は確定申告が必要!書類の書き方を完全ガイド【決定版】空き地を事業目的で使っていたら消費税がかかる?
空き地売却でかかる税金は基本的に上の3つですが、空き地を使って賃貸経営などをおこない収益を上げていた場合は消費税がかかる場合があります。
また、売主が法人や事業主の場合も消費税がかかってしまうので注意しましょう。
消費税の課税が免除されるケース
ただ、空き地を使って利益を上げていても消費税がかからないケースがあります。
消費税がかかるのは、2期前の事業年度の課税売上高が1000万円を超える場合のみです。
そのため、スタートアップ企業や小規模の自営業者などは課税を免除されるのです。
ただ条件に当てはまる場合は、売却価格の8%を払わないといけないのでかなりの負担となります。
また、2019年10月の10%増税の負担がダイレクトにのしかかってしまうので注意しましょう。
➝不動産売却で消費税はかかる?知っておくべき課税・免税の条件空き地売却途中の固定資産税をどうお得にするか
空き地売却の中には、建物が古くなったので解体して更地にした後売るケースがあります。
不動産は売却期間中も固定資産税がかかり続けるので、売れ残れば売れ残るほど負担が増えて損です。
固定資産税の支払いは売却の翌年から免除になりますが、それまでの負担をどうお得にするかを考えていきましょう。
更地にすると売れやすくなるが固定資産税は6倍に
戸建て(建物+敷地)の場合、課される固定資産税が優遇されています。
これは、税金を減らすことで一般人の一軒家購入を促進しようという狙いがあってのものです。
簡単に言えば、建物がある時は土地のみの時にくらべて固定資産税の課税が6分の1で済みます。
特に建物の築年数が20年を過ぎていると、建物自体の価値は0にも関わらず優遇措置を受けられるので、立て壊すかどうかは悩ましいところです。
年内に引き渡してしまえば翌年の固定資産税はかからない
固定資産税は毎年1月1日時点に不動産の所有者だった人に対して、一年間の納税義務がかかります。
つまり、1月1日以降に更地にして、かつ年内に売却を完了させれば固定資産税の増額分を支払わなくて済むのです。
ちなみに固定資産税は1年間かかり続けますが、引き渡し日を起点にして精算(引き渡し日~大晦日の分は買主に払ってもらう)をすることも可能です。
詳しくはこちらにまとめているので、参考にしてください。
➝不動産売却後の固定資産税は誰が支払う?どう精算・納付する?空き地売却にかかる税金をお得にする方法
ここからは、空き地の売却にかかる税金をお得にするにはどうすれば良いのか解説していきます。
節税をすることで手元に入る金額を大幅に増やすことができるので、売却を検討している方は必ず目を通しておきましょう。
取得費をなるべく多く計上する
前述の譲渡所得税の計算式を見るとわかりますが、取得費の額が大きければ大きいほど課税額は低くなります。
取得費は、当てはまるものを計上して経費を増やすことができます。
- 設計変更費用
- 増改築リフォーム費用
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 免許登録税や登記手数料
- 契約書の印紙代
- ローン事務手数料
- ローン保証事務手数料
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 抵当権設定の免許登録税や登記手数料
- 建物に付属する設備費
- 建築費や工事にかかった諸費用
- ローン借入日~所有開始までにかかったローン金利
- ローン借入日~所有開始までにかかったローン保証料
- ローン借入日~所有開始までにかかった団体信用生命保険料
細かい費用でも計上すればするほど課税額は減っていきます。
経費計上できるか迷ったら、不動産会社に相談しましょう。
空き地の敷地は3年以内に売ると最大3000万円控除
譲渡所得税を最も減らせる方法が、「3000万円の特別控除」(通称:マイホーム特例)の利用です。
その名の通り、マイホーム(建物+敷地)を売るケースが対象となる特例ですが、空き地が以前居住していた家の敷地で、転居してから3年後の12月31日までに引き渡す場合は3000万円特別控除の利用が可能となります。
条件は厳しいですが、当てはまる方は積極的に利用していきましょう。
所有期間10年超の軽減税率特例を使う
譲渡所得税率は所有期間が5年を超えると低くなりますが、更に10年を超えると以下のように税率が減ります。
譲渡所得(円) | 住民税の税率 | 所得税の税率 |
---|---|---|
6000万円以下 | 10% | 4% |
6000万円超 | (譲渡所得-6000万円)×15%+600万円 | (譲渡所得-6000万円)×5%+240万円 |
居住していた時から時間がたってしまい、マイホーム特例が利用できない方は、こちらの特例を積極的に利用していきましょう。
平成21年及び22年購入の特例を使う
2011年~2012年に購入した空き地を売る場合は、譲渡所得税が1000万円控除されます。
これは、2011年に発生した東日本大震災を考慮してのことです。
震災の発生で不動産相場が全体的にガクッと下がったため、相場が回復した今に売ると購入費用<売却価格となって税金が発生しやすいのです。
当てはまる方は積極的に活用していきましょう。
特殊な空き地売却時に使える4種類の特別控除
その他、公共事業の一環などで空き地を売るようになった場合には、こちら4種類の特別控除を使うことができます。
特例・控除 | 利用できるケース |
---|---|
5,000万円の特別控除の特例 | 公共事業のために土地を売却する場合 |
2,000万円の特別控除の特例 | 特定土地区画整理事業のために土地を売却する場合 |
1,500万円の特別控除の特例 | 特定住宅地造成事業のために土地を売却する場合 |
800万円の特別控除の特例 | 農地保有の合理化のために土地を売却する場合 |
これらの特例控除は他の特例と併用して使えないケースも多いので注意しましょう。
空き地を早く売りたい!3ヶ月以内で手放す4つの方法2019年末に空き地売却にかかる税金の新たな特別控除が創設【低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除】
2019年末に空き地売却にかかる税金の新たな特別控除制度が創設されました。
人口減少・高齢化により増える空き地に対する対処の1つで、低価格の土地を対象に、譲渡所得税を最大100万円分控除できるという内容です。
空き地(低利用地)に対するこうした施策は初の試みで、売買取引の活性化をダイレクトに促進する試みです。
また、この特例は建物ごと空き地を売却した場合も適用される仕組みです。
特別控除でお得だから空き地を早く売るべき?
この特別控除の創設を受けて、「お得なうちに空き地を早く売ろう」と言う不動産会社も増えています。
ただ、実際に譲渡所得税が発生するのは取得時のコストを売却額が上回った場合なので、そこまで多くはありません。
また、現在(2020年9月時点)は新型コロナウィルスの感染拡大により全体的な消費意欲が落ちているため、エリアによっては今売り出すのが最善ではないケースも多々あります。
とはいえ、全体的な業界の傾向としては今後、空き地の需要が回復する見込みはなく、緩やかに減少していく可能性が高いです。
そのため、特別控除に関わらず空き地は早く売るべきというのは間違いありません。
土地を売りたいときはどこに相談するのがいい?状況別で適切な相談先を紹介2020年以降に空き地売却に関する大改革がおこなわれる?狙いは海外投資家の動向監視か
前述の通り、空き地売却にかかる税金の特別控除が創設されました。
これは以前からある程度決まっていた部分もありますが、更に2020年は新型コロナウィルスの感染拡大や安倍首相の突然の辞任など、大きな出来事が多数ありました。
世の中の不安定な状況を収めることが政府の緊急課題なので、政策もその方針で動いていくと考えられます。
特に空き地などの不動産は海外投資家から現在の混乱を機に買い漁られるリスクを危惧されており、防止の方向に動くと思われます。
空き地放置による今後のリスクは2種類
空き地放置で起きるリスクのうち、国・自治体が特に危惧しているのは、以下の2つです。
- 固定資産税がスムーズに徴収できないリスク
- 海外投資家などから買い占められるリスク
実際に空き地の放置期間が長引いてくれば、どちらのリスクも発生してきます。
まず固定資産税ですが、地方自治体によっては財源の4割ほどになることもある貴重な財源です。
固定資産税は登記簿上の名義人に対して課税されますが、今の日本では相続登記の義務化がされておらず、特に空き地だと誰が今の所有者か分からないケースは多々あります。
実際に空き地の増加で税の徴収が困難になっている自治体は増えています。
次に海外投資家から買い占められるリスクも存在します。
日本は世界3位の経済大国にも関わらず不動産がリーズナブルで値崩れしにくいと言われており、特にオリンピック特需が起こり始めた2010年代半ばから海外投資家の注目度が増しています。
空き地を海外投資家に買われると、国・自治体はできる施策を制限されてしまうので、損です。
空き地取引活性化と放置の空き地介入強化の2軸で進められるか
不要な土地を放置することで空き地が増加します。ただ、その持ち主にとって不要でも、他に必要な人がいるかも知れません。
売却時に発生する税金控除の仕組みを整備するなど、売買取引を促進する動きが進むでしょう。
また、現在は放置している所有者不明の空き地へ気軽に手出しできない問題がありますが、空き地を放置していると犯罪の温床になるなどの危険があります。
このような状況を防ぐため、所有者不明の空き地でも国・自治体が処分できる方向に政策が強化されていくでしょう。
空き地は売り出した年内に高く売るのが理想的!
空き地を1年の途中に引き渡しても固定資産税を日割り精算できますが、手続きは面倒ですし、精算は国に公式に認められた納税方法ではありません。
空き地は売り出した年内に売り切ってしまい、来年の課税を完全に買主に任せることをおすすめします。
税負担を抑えるには、空き地をなるべく高く売って納税に余裕を持たせることが一番の近道です。
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