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実家を売却する手順を紹介!相続の注意点や損せず売るポイント・費用や税金を解説

【更新日】2023-11-24
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実家を売る
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この記事の監修
新田真由美

新田真由美

お金の知識で人生を豊かにしたいという思いから2019年「ウーマンライフFP」を設立。

保険相談、資産運用相談、女性の起業相談を中心に活動している。

親切で丁寧とクライアントからの評価も高い。

活動実績:「目指せ年間100万円!お金の超基本」(コスミック出版)監修
     「超図解つみたてNISA&iDeCoかんたん入門2023」(ジーウォーク)監修

URL:https://fpnitta.com

幼少期から住んでいた実家、両親が亡くなって誰も住んでないとはいえ、いろんな思い出が詰まった場所がなくなるのは悲しいものです。

大学進学を機に地元を出てしまったけど、帰省すれば自分の部屋があって・・。

誰も住んでいる人がいないから、取り取り壊さなければいけないことは分かっているけど・・。

「東京の大学に進学したいっていったとき揉めたなあ・・」「近所の子と一緒に遊んだなあ・・」いろんな思い出が詰まっていて、どうしようもなく寂しい気持ちになりますよね。

しかし、売却せずに放置しても犯罪の危険が高まりますし、維持費もかかります。

ここでは寂しいと感じる場合にどう対処したらいいのか、空き家を放置するとどんな危険があるのかをご紹介していきます。

家を売るタイミングはいつ?ベストな売り時と売ってはいけない時期・判断基準を紹介【2023年版】

実家を売却する手順

実家を売る流れは、こちらの8ステップで進んでいきます。

  1. 相続登記
  2. 査定に出す
  3. 媒介契約を結ぶ
  4. 販売活動
  5. 内覧
  6. 価格・取引条件の交渉
  7. 売買契約
  8. 引き渡し・決済

それぞれの手続きを手順ごとに説明していきましょう。

手順①相続登記

実家を相続した後も、登記簿謄本上では亡くなった親の名義になっていることが多いです。

不動産を売却できるのはその物件の所有者(名義人)だけなので、必ず名義を変更しなければいけません。この名義変更の手続きを相続登記と言います。

相続登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、被相続人が複数いる場合、誰が名義人になるのか話し合っておく必要があります。

相続登記を自分でやることもできる?

相続登記を司法書士に頼らず、自分自身でおこなうこともできます。

登記に必要な情報や書類を自分でまとめ、管轄の法務局で手続きをすることはできますが、以下のポイントを抑えておかなければいけません。

自分で相続登記をする時の注意点
  • 配偶者・子供が相続人であるのが理想
  • 役場・法務局は平日しか受け付けていない
  • 何度も通う労力が必要

自分で相続登記をする時は、配偶者や子供が行うのがベストです。

それ以外の相続関係だと、手続きがより複雑になってしまいます。

ミスする可能性を考えれば、多少の費用に目をつむって司法書士に依頼するのがおすすめです。

手順②査定に出す

次に、実家を不動産会社へ査定に出します。

今は気軽にネット査定に出せる時代ですが、査定結果には十分気を付けなければいけません。

ネット査定の大きなポイントが、実際に物件を見て価格を算出している訳ではないということです。

長年放置していて空き家状態の空き家なら、査定額が高くても売れ残る可能性は高いです。また、権利関係が複雑だったり近隣とトラブルを抱えていたりする物件も売れにくい傾向にあります。

決してネット査定の価格だけで判断しないようにしましょう。

手順③媒介契約を結ぶ

査定を通じて不動産会社を絞ったら、次に媒介契約を結びます。

媒介契約とは仲介業者に実家の販売を任せる代わりに売り上げの一部を仲介手数料として支払うという契約です。

媒介契約には3種類の方法があり、それぞれ内容がすこしずつ違います。

契約の種類 契約の有効期間 売り手自身が買い手を見つけること依頼可能な業者数仲介業者からの報告※
専属専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回、メールか文書で連絡
専任媒介契約 3ヶ月以内 できない 1社のみ 1週間に1回、メールか文書で連絡
一般媒介契約 3ヶ月以内 可能 複数社と契約可能(契約数の上限なし) なし

自分はどの契約方法にすべきか、しっかり考えておきましょう。

基本的には(専属)専任媒介契約がおすすめ

一般的に、媒介契約は専任媒介を選ぶのがおすすめです。

一般媒介契約は複数社と契約できますが、この時、仲介手数料が支払われるのは成約が取れた1社だけです。

販売活動でかかるコストは基本的に不動産会社の自己負担になるので、仲介手数料が支払われないと大きな損失を受けます。

また、専任媒介契約を結んだ方限定のキャンペーンも多いです。

ただ、人気エリアにあって状態の良い物件なら、一般媒介を選ぶと各社が競争して高く売れる傾向にあります。

必ずしも専任媒介契約がお得とは限らないので注意しましょう。

手順④販売活動

媒介契約を結んだら、実家を売り出していきます。

販売活動では、仲介業者が以下のようなことをおこないます。

売却活動で業者が行っていること

  • 指定流通機構「レインズ」への登録
  • 物件広告の作成
  • 販売営業・宣伝活動
  • 内覧準備・内覧実施

販売活動をおこなうのは仲介業者ですが、売主も連絡を密にして、しっかり働いてくれているかチェックする必要があります。

また、いつ内覧希望者が現れても大丈夫なように、部屋の掃除・整理整頓をしっかりやっておきましょう。

手順⑤内覧

広告の効果が出てくると、内覧の申込が1日何件か入ります。

不動産会社から内覧応募の連絡があれば、スケジュールを調整して内覧を実施しましょう。

内覧は晴れた日の13時前後で、最も日光が入るタイミングを選ぶと第一印象が良くなります。

窓も全開にして、しっかり換気をするようにしましょう。

手順⑥価格・取引条件の交渉

向こうが好感触ならば、次に価格や条件の交渉に移ります。

内覧時は人が好さそうだった買主も、この段階で大幅な値下げを要求してくる可能性があるので注意しましょう。

値下げを要求してきたので契約しないという手もありますが、また1から内覧準備を実施するのは面倒ですし、築古の実家売買はどうしても高額を払う買主の優位で進んでいきます。

最初に、ここまでなら値下げしてOKという基準を設定しておき、多少の値下げ要求なら気持ち良く承諾すると成約率も高まります。

不動産売却で値下げ交渉を受けるタイミングと適正な値下げ幅とは?大幅値下げを回避する方法

条件に納得したら買主から購入申込書が送られます。

手順⑦売買契約

購入申し込みを受けたら、売買契約の日時を設定します。

売買契約当日は、売主と買主に加えてどちらか一方の担当者(不動産業者)が同席して、契約事項を読み合わせます。

この時、売買契約書に捺印とサインをしますが、決めた重要な事柄は全て契約書に記載するようにしましょう。

交渉でいろんなことを口約束しても、契約書に記載がなければ拘束力はありません。

不動産売買契約書の書式・ひな形と作成時の注意点

手順⑧引き渡し・決済

契約を結んだら、実家の引き渡し、決済をおこないます。

買主からお金をもらってローンの残債処理や諸費用の清算をし、引き渡しは完了です。

準備物や当日の場所、流れはこちらにまとめてあるので、併せてご覧ください。

不動産売却時の決済の流れ!場所や時間・必要書類を詳しく解説

実家を売る時にかかる税金・費用

前節でも紹介したように、 亡くなった親から相続した実家を売却するには、名義人の変更に当たる相続登記を実施した後になります。

これを行った時、登録免許税がかかるわけですが、実家の買い手がついたときに組む売買契約や相続手続きを組んだ時など、一連の流れの中で5種類もの税金が課されます。

課せられる税金の種類

  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 消費税
  • 相続税
  • 譲渡所得税

ここからは、各税金の納税のタイミングと税率を解説します。

登録免許税

登録免許税は、相続した実家の所有者名義を故人から相続人に変更したときに課せられる税金です。

登録免許税の金額は、固定資産評価額の0.4%になります。

登録免許税は、登記申請を行った時に同時に支払います。

印紙税

印紙税は、売買契約を締結させる時に作成した契約にかけられた税金で、売買するものによって税額が変動します。

印紙税は、収益を問わず支払わなければならない税金です。

印紙税は、収入印紙を郵便局などの公的機関で購入した時点で納税が完了となります。

また誰が支払いを行うかなどは決められておらず、売り手本人が支払うこともあれば、仲介会社が負担してくれることもあります。

以下は印紙税の税額になります。

契約書に記載されている金額 印紙税
500万円以下 1,000円
1,000万円以下 5,000円
5,000万円以下 10,000円
1億円以下 30,000円
5億円以下 60,000円

消費税

消費税は、仲介売却による売買が締結した後に支払う仲介手数料に課せられます。

仲介手数料の金額は、法律で以下のような形で上限額が決められています。

取引物件価格(税別) 仲介手数料の上限額
200万円以下 取引物件価格(税別)×5%+消費税
200万円~400万円以下 取引物件価格(税別)×4%+消費税
400万円以上 取引物件価格(税別)×3%+消費税

相続税

相続税

相続税は、故人が残した財産を相続したら課せられる税金です。

課税対象は、不動産や有価証券など、金銭に見積もることができる経済的価値があるすべてのものが対象になります。

相続税は、相続した財産の額から、借金や葬式費用などを差し引いた額が一定の額(基礎控除額)を超えた時にかかります。

この「基礎控除」の額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。

例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、法定相続人は3人となり、「基礎控除」の額」は4,800万円となるので、相続した財産の額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

なお、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内になっています。

譲渡所得税

譲渡所得税は、実家売却後に入る所得にかけられた所得税と住民税を合算したものになります。

不動産売却の譲渡所得税の税率は、実家の所有期間に応じて税率が変動します。

所有期間 税率
5年未満(短期譲渡所得) 所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%
5年以上(長期譲渡所得) 所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%

どちらの税率になるかは、不動産を売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判断されます。

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実家売却の前にチェックしたいポイント

実家を売りたいと思っても、気軽に売却できるものではありません。

売りに出す上で確認しておきたいポイントを、分かりやすく解説していきます。

遺言書の有無

実家の相続が発生したら、まず遺言書の有無を確認しましょう。

親が遺言書を残していた場合、原則として遺言書の内容通りに遺産を分割しなければいけなくなります。

そもそも売却処分は可能なのか、売主は誰になるのかを判断するためにも、遺言書の確認は必須になります。

遺言書には、以下の3種類があります。

遺言書の種類

  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

公正証書遺言は公証役場で証人2人の立会いのもと公証人によって作成され、原本は公証役場で保管され、写しを被相続人本人が保管します。

公正証書遺言は弁護士や税理士などの専門家からアドバイスを受けて作成していることもあります。

親交のある弁護士・税理士が遺言書の有無を知っている可能性もありますので、お探しの際はまずそちらに問い合わせることをおすすめします。

もし弁護士・税理士が分からない場合でも、公証役場に被相続人の除籍謄本などの必要書類を持参して検索してもらうことができます。

公正証書遺言がない場合は、自筆証書遺言、秘密証書遺言が残っていないか確認をします。

自筆証書遺言は専門家の手を借りず自力で作成した遺言になります

相続が発生した時(被相続人が死亡した時)、家庭裁判所の検認を受け、不備がなければ遺言書の効力が発生します。

秘密証書遺言は、被相続人本人が遺言書を作成、公証役場に持参し遺言書の内容を秘密にしながら、証人2人の立会いのもと公証人に認証を受けます。

秘密証書遺言は、相続が発生したら家庭裁判所で検認を受け、不備がなければ遺言書の効力が発生します。

秘密証書遺言は構成証書遺言と自筆証書遺言に比べて一般的ではありません。

エンディングノートの有無

現在は遺言のように、家族への感謝などを述べたエンディングノートを作成する方もいます。

ただ、このエンディングノートには法的効力は一切ありません。

こちらに「兄弟〇人で均等に分け合うことを望む」などと書かれていても、拘束力は一切なく、従う必要はありません。

実家の分割方針を決める

遺言書がない場合、基本的には相続人全員の話し合いで遺産を分割することになります。

分割の方針・方法に関しては自分たちの意思で決めることができます。

分割の方針は大きく分けて現物分割と換価分割、代償分割の3通りです。

現物分割は、複数存在する遺産を現物のまま分割する方法です。

ただ、この方法だと不動産のように細かく分けられない遺産が存在するので、結果的に不均等となるのが一般的です。

一方、換価分割は遺産を売却し、その代金を均等に分割する方法です。

この方法なら均等に分割できるので、不満も出にくくなります。

相続した実家を売却する予定なら、換価分割をおすすめします。

代償分割は、特定の相続人が遺産を相続し、その代わりに遺産を相続しない相続人に金銭等(代償)を支払う分割方法です。

相続財産が不動産だけのケースや会社の株式などのように分割がしにくいケースで利用されます。

遺品整理の方針

実家を売り渡す際は、荷物が何もない空き家の状態にしておかなければいけません。

そのため、遺品は処分をするか、相続人に分配するかして整理をしていく必要があります。

どの遺品を誰に分配するか、近隣に遺品の回収サービスは存在するかなどのチェックは早めにしておく必要があります。

仏壇の整理

遺品の中でも取り扱いが厄介なのが仏壇です。

仏壇を移動する際は、菩提寺で魂抜き・魂入れという法要をおこなう必要があります。

廃棄をすることも可能ですが、この際も供養・お焚き上げが必要です。

手続きが多い分、早めに対応する必要があります。

境界確認

実家を売る際は、土地境界が明確になっている必要があります。

境界が未確定の場合は売ることができないので、事前に資料を探すか、測量を依頼するしかありません。

確定測量図が残っていれば、新たに測定をする必要はありません。

また、確定測量図がなくても筆界確認書があれば問題ありません。

これらの資料が残っていない場合、測量会社に境界確定を依頼するようになります。

境界測定を実施する場合は少なくない費用がかかりますし、確定まで3か月ほどかかります。

また、境界測定には近隣住民の協力が不可欠なので、生前ご近所さんと親の仲が悪かったりすると、上手く作業が進まない可能性が高いです。

とは言っても境界確定は実家売却に必要なので、早めに対応して間に合わせる必要があります。

購入当時の資料

できれば、親が実家を購入した当時の売買契約書などを探し、チェックしておきましょう。

資料を取得しておくメリットとしては、細かい情報を把握することで売却時のPRに役立てられるということがありますが、最も大きいのは譲渡所得税を大幅に節税できるということです。

譲渡所得税は不動産売却の利益分に対して課税される税金で、以下の計算式で課税額を求めることができます。

・譲渡所得税=税率×(譲渡価額-取得費-譲渡費用)

計算式を見ると取得費(購入時の費用)が高いほど税金は安くなります。

ただ、実家を売却する場合は購入当時の書類が手元にないケースも多く、正確な取得費が計算できません。

この場合、取得費は譲渡価格の5%で計算するようになりますが、大抵の場合、実際の取得費よりも割安になり、税金が高額になってしまいます。

これを防ぐためにも、不動産会社に問い合わせるなどして書類を何とか取得するようにしましょう。

実家を売却する前に済ませておく準備

ここでは、相続した物件を売却する運びになったときに済ませておく準備を6つ紹介します。

なお、相続登記を済ませたという前提で話を進めていきます。

不動産の評価額の確認

不動産の価格は、物件がある立地の状態・状況や物件の広さ、築年数、設備の状態、周辺環境など様々な要素によって価格が前後します。

これらを考慮した上で価格を算出するには、専門的な知識と経験が必要になります。

価格を把握する手段は不動産会社に査定依頼を出すのが最もですが、相場範囲を知らない状態で依頼をすると、会社に主導権を奪われます。

なので、まずは、AI査定シミュレーションや過去の売却事例が掲載されているサイト等を活用して目安となる査定価格の範囲を把握しましょう。

また会社に査定依頼を出すときは、不動産一括査定サイトを活用するのが得策です。

税金の確認

不動産売却が成立した後に振り込まれる売却益には、譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得は、売却価格から取得費(相続時の評価額等)と必要経費を差し引いた額で、金額に応じて、税額が変動します。

日本の場合、2021年現在で、譲渡所得が400万円以下なら15%、400万円超なら20%の税率が適用されるほか、住民税の分として所得の2%が上乗せされます。

ただし、以下のような特例措置が設けられています。

状況に応じて利用できる特例

  • 所有期間による税率の変動:不動産を5年以上所有していた場合、長期所有の特例により、税率が下がる場合があります。
  • 主たる生計の用に供する住宅(自宅)の売却:一定の要件を満たす自宅の売却については、譲渡所得の一部が非課税となる特例があります。

物件の状態確認

当然ながら、売却を検討している物件の状態が良ければ良いほど売却価格は状称します。

特に、大きな欠陥や修繕が必要な箇所があると、評価額に響く恐れがあります。

とはいえ、大規模な改修工事を行う必要はありません。

仮に開集工事を行っても、工事費用を売却益から賄えない可能性があるためです。

とはいえ、やっておくことで価格が変わってくる場合もあります。

もし改修工事を行うのであれば、低予算でできるものから始めてみましょう。

売却を行うタイミング

不動産の価格は、不動産市場の景気や利子率、季節などにより変動します。

例えば、低金利時代では、購入者が増え、季節では春や秋が動きやすいと言われています。

また物件の需給率によっても、売却価格や売買が完了するまでにかかる時間が変わってきます。

売却活動を行うとき、経済状況に目を向けておくと、最適なタイミングで理想に近い形で売却を済ませることができます。

住宅ローンの残債額の確認

物件を売却するときは、原則、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しておく必要があります。

もしも故人が不動産をローンで購入して、未完済だった場合、売却額の一部をローン返済に充てることで返済が完了します。

ただし、このケースは住宅ローンの残債額を売却価格が上回った場合に限定されます。

仮に下回った場合は、自己資産から不足分を補うと同時に、任意売却の手続きを組む必要があります。

なお、例外として、故人が死亡による団信に加入している場合は、ローンが完済されている場合もあるので、売却前にローンの残高がどれほどあるのか確認して、売却価格とのバランスを取りましょう。

実家が売れない時の対処法

「実家を売ろう!」と決断してもなかなか売却できない人が多いです。

実家は築年数が経過している物件が多く、買主がなかなか見つからず売れ残ってしまいます。

そこでこれから、実家がなかなか売れない時にやるべき対処法を紹介します。

「実家がなかなか売れない!」と困っている人は参考にしてください。

買取業者に依頼する

仲介で実家を売って売れ残っていると、そのまま売却活動を続けても売れない可能性が高いです。

老朽化の激しい実家や立地の悪い実家は、買取業者に買取って貰いましょう。

買取業者は訳あり物件でも積極的に買取ってくれる所が多いのでおすすめです。

仲介を断られた実家でも買取ってくれるケースもあるので、困っている人は買取業者の利用を検討してみてください。

空き家バンクに登録する

空き家は各自治体が運営しているサービスで、空き家バンクに登録すると物件情報をサイトに掲載されます。

買主が現れない可能性もありますが、サイトに掲載できるので多くのユーザーに見てもらえます。

買主が現れると取引内容を交渉して売ることができます。

ただし自治体は買主と売主で万が一トラブルが発生しても一切関与してくれないので注意しましょう。

無償譲渡を検討する

買取業者に依頼しても断られてしまった場合は、無償譲渡を検討しましょう。

また断られる原因を探して、原因を取り除いた状態で買取業者に依頼しましょう。

無償譲渡は無料で物件を渡すことになるので「もったいない!」と思う人もいますが、実家が空き家になった状態だと無駄にコストを支払うことになるので、最終的にお得になります。

ただし無償譲渡は売主側にメリットが少ないので、最終手段と考えておきましょう。

実家を処分する方法を紹介!スムーズに処分する流れや賢く売却するコツを解説

実家を売るのが寂しい場合の対処法

「実家を売らなければならないけど寂しい!」という人も居ますよね。

実家は長年住んでいるケースが多く、思い出がつまっていて「売れない!」という気持ちになってしまいます。

しかし実家をそのまま放置していると、家を管理する費用や税金がかかるので、いつかは処分する方法を決めなければなりません。

そこで今回は、実家を活用することによって寂しさを紛らわせる方法を紹介します。

賃貸物件にする

実家を貸し出す形にして賃貸経営することができます。

実家がマンションの場合はマンション経営という形で、1室貸し出し毎月賃料を稼ぐことができます。

戸建ての場合もマンションと同じように貸し出して賃料を稼ぐ事が可能です。

ただし実家の内装が汚かったり設備が壊れていたりする場合は、リノベーションして賃貸にする必要があります。

初期費用が発生するので、賃貸に強い不動産会社に相談しましょう。

コインランドリー・駐車場にする

「土地だけでも保有しておきたい!」「実家が古すぎる!」という人は、実家を更地にしてコインラインドリーや駐車場にすることをおすすめします。

経営のノウハウが必要になりますが、土地を保有した状態でコストを掛けず稼ぐことができます。

実家を保有し続けていると、空き家だとしても管理費用や税金が課せられるので上記のように活用できる方法を見つけましょう。

民泊経営

賃貸と同じ様な方法で、民泊として経営していく方法もあります。

民泊は、管理会社に経営を依頼することも可能なので副業としてやっていく手段もあります。

観光地の近くに実家があると、需要も高く利益も見込めるのでおすすめです。

実家を売却する際に起こりうる問題

実家の売却を進めようとしても、すぐに買い手が見つからないなどの問題が発生することもあります。

実家を売却する際に起こりうる問題を以下に説明します。

古い実家を放置したままで売りづらくなる

古い実家を放置したまま売却しようとすると、数々の問題に直面することがあります。

まず、古い家は状態が悪いため、購入者が見つかりにくいです。

特に、劣化した設備や老朽化した構造は大きなマイナスポイントとなります。

さらに、古い家は耐震基準が新しくなった後に建てられた家に比べて耐震性能が低い可能性が高く、それも購入者を減らす原因となります。

また古い家をそのまま売ると、土地の価値だけを評価され、建物の価値がほとんど反映されないことがあります。

古い実家を売ろうと考えている人は、適切なリフォームを検討したり建物を取り壊して土地だけを売るなどの選択肢も考慮に入れると良いでしょう。

業者選びで失敗すると実家を売りづらくなる

不動産の売却における業者選びは非常に重要です。

間違った業者を選んでしまうと、適切な価格で売ることができないだけでなく、売却自体が難しくなる可能性があります。

業者選びのポイントとしては、地元での評判や経験、専門知識、サービスの質などが挙げられます。

また適切な価格設定を行い、購入者を見つけるためのマーケティング戦略を持っているかどうかも重要です。

加えて査定額はあくまで参考の一つであり、高額査定を提示する業者を無条件に選ぶべきではありません。

信頼できる業者は、物件の現状や市場状況を正確に把握した上で、適切な価格を提示します。

家の無料査定はどこに頼むべき?賢い査定業者の選び方・おすすめサイトや注意点を解説

実家が空き家になっている場合

実家が空き家になっている人は、管理費用や税金といったコストが無駄にかかっている状態なので、早急に対策しましょう。

空き家を放置していると最悪の場合、国から行政指導を受けてしまい多額の固定資産税を支払わなければなりません。

これから対策方法を2つ紹介するので、実家が空き家になっている人は参考にしてください。

自治体の補助金制度を使って処分

実家の場所によっては、自治体が空き家の補助金制度を実施している場合もあります。

補助金制度では空き家処分の解体費用を保証してくれます。

空き家を更地にしたいけどお金が足りないという人は、自治体の補助金制度を調べましょう。

スピード買取してくれる業者に依頼

空き家になってしばらく放置している人は、スピード買取してくれる買取業者に依頼しましょう。

老朽化が進んでいる物件は仲介で売り出しても売れないケースが多いのでおすすめできません。

買取業者だと最短1週間で買取を完了してくれる業者があるので、素早く現金化できる業者を選びましょう。

実家を売却する時の節税方法

実家を売却する際に「せっかくなら節税して売却益を得たい…!」と考える人も多いですよね。

実家の売却は、様々な控除や特例を利用する事によって節税することができます。

これから利用できる特例や控除を紹介していくので該当している人は利用して節税しましょう。

軽減税率の特例

家の所有年数が10年以上の実家を売却すると、税率が軽減される特例を受けられます。

税率は譲渡所得6,000万円以上・以下で所得税が異なります。

譲渡所得が6,000万円以上になる場合は、6,000万円以下の部分に14.21%の税金が発生し残りの金額に20.315%が課税されます。

この軽減税率の特例は3,000万円特別控除と併用して利用できます。

軽減税率特例を受けられる条件は下記の通りです。

  • 10年以上物件を保有している
  • 自分が住んでいる家を売る
  • 売却した年の前年・前々年に損益通算・繰越控除を受けていない

他にも細かい条件があるので、事前に不動産会社の担当者と話して相談してみましょう。

配偶者控除

配偶者の家を相続した状態で売る場合は、配偶者控除を受けることができます。

配偶者控除は、相続額が1億6,000万円いないであれば相続税が課税されません。

母・父→子供に相続する場合は、基礎控除しか受けることができないので、場合によっては配偶者が相続して売却した方が相続税を抑えることができます。

空き家の特例

空き家特例は、被相続人の家を相続した人が、耐震基準を満たしたor取り壊しをした後に敷地を譲渡した場合に、3,000万円が特別控除されます。

耐震性の無い家というのが条件なので、古い家だと今の耐震基準より下回った状態の家である可能性があり、空き家の特例を受けられない可能性もあります。

実家を売却するタイミング

実家を売るのは、親の死後に相続した場合だけではありません。

親が存命か、健在かによって売り方は大きく異なってきます。

ここからは、ケース別に実家売却のポイントを整理していきましょう。

①親の死後に相続した実家を売る

親が亡くなった場合と、こちらの流れで手続きを進めて実家を相続します。

  1. 遺言書の内容を確認
  2. 相続人の調査
  3. 相続財産の調査
  4. 遺産分割協議
  5. 遺産分割協議書の作成
  6. 相続登記・名義変更

相続前に実家をいらないと判断したら、相続を放棄することもできます。

ただ、この時は実家以外の遺産も全て放棄しないといけないので注意しましょう。

親が亡くなった時、自動的に名義が子どもへ移るわけではありません。

手続きをしないと名義を移せず、売却ができないので注意しましょう。

実家の名義を親から子に移す手続きを、相続登記と呼びます。相続登記はこちらの書類を準備しておこないます。

相続登記に必要な書類一式

  • 登記申請書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑登録証明書
  • 不動産を相続する人(新しく登記名義人となる人)の住民税
  • 遺産分割協議書
  • 固定資産税納税通知書等
  • 登録免許税

これらの書類を管轄の法務局に提出して、手続きをおこないます。

また、この時登録免許税(相続物件の評価額×0.4%)を支払う必要があるので注意しましょう。

相続登記は自力でおこなうこともできますが、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です

不動産売却で司法書士は何をするの?売買契約は立会可?役割と費用相場を解説

親族と分割相続している場合は全員の同意が必要

例えば3人兄弟で実家を相続した時、あなたが長男だったとしても単独で売りに出すことはできません。

分割相続した時は、相続人全員が「売る」で意見を一致していることが重要です。

3人のうち1人が親と同居していて、死後も実家に住み続けている場合、売却を簡単に承諾してはくれません。

それでも売りたいというなら引っ越し代を渡すなどの手続きが必要ですが、仲が悪くなって音信不通になる…なんてこのないようにしましょう。

②親の代理で実家を売る

上のケースとは違い、親が健在なのに遠方に住んでいる、病気や障害で手続きができないなどの理由で、子どもが代理になる場合もあります。

ただし、子どもだからといって何の手続きもせず代理人になれるわけではありません。キチンとした手続きを踏む必要があります。

代理人になるには委任状が必要

代理人を立てる時は、代理権委任状という書類を作成する必要があります。

委任者と受任者の氏名、有効期間、口座取り扱いの注意事項などを記載し、仲介業者に提出します。

この時に重要なのが、代理人にどこまでの権限を与えるのかです。

値下げ、値上げの判断や業者の変更、買主選びなどをどこまで代理人に任せるのかの線引きをしっかり決め、契約書に記載する必要があります。

③認知症の親に代わって売る

上のケースは親が売りたいけど物理的に手続きができないケースでしたが、認知症などで親に売る意思がないか判断できない場合もあります。

この時は、成年後見制度というものを利用して、意思決定まで出来る代理人にならないといけません。

成年後見人になるには、実家の売主(親)の住民票が登録されている家庭裁判所へ審判を申し立て、認められる必要があります。

不動産を認知症の親に代わって売却する方法!代理人が認められないケースもある?

成年後見人とはいえあくまでも代理人なので、親の利益を無視して売ることはできません。

そのため、家庭裁判所はなぜ売るのかの理由を詳しく審査します。

実家の売却に関するよくある質問

ここでは、相続した実家を売却するときに知っておきたいことや、解決しておきたい疑問などを質問形式で解説していきます。

Q.実家を相続するなら亡くなる前と後ではどちらがベスト?

一概にどちらが最善な方法であるかと断言することは難しいですが、1つの指標として、譲渡所得税が発生するかどうかで決めるのがいいでしょう。

譲渡所得税の納税を避けるなら相続前、つまり、実家の名義人になっている方が生きている間に売却の検討を進めておくのがいいでしょう。

さらに、住んでいる家を売却すれば、譲渡所得の3,000万円特別控除が適用されます。

譲渡所得税は、物件を売却して発生した所得に対してかけられる税金で、もしも、3,000万円の特別控除が適用されれば、最大600万円の減税が可能です。

よって、実家を相続する前・後に売却するかを決めるときは、譲渡所得の3,000万円特別控除の適用可否を基準に考えてみましょう。

不動産売却の3000万円特別控除とは?制度の仕組みと適用条件・必要書類を徹底解説

Q.遺言書の有無で実家の行く末が変わる?

故人から実家を相続したら、最優先で遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書がある場合は、記されている内容に従って遺産を分割していきます。

対して、遺言書がない場合は、民法に従って遺産を分割していきます。

また遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があり、要件を満たしていれば、どちらも有効ですが、法的な要件を満たしていない場合は公正証書遺言の方が自筆よりも強い効力を発揮します。

Q.実家を売却せず残しておく方法は?

空き家にしておくと、不法侵入や経年劣化が原因で資産価値差のモノを下げてしまうなどのリスクを背負います。

これらリスクを背負わず、実家を残すとなれば、リフォームやリノベーションを施して相続人が住むか、賃貸物件として貸し出すなどの方法があります。

なお、後者の賃貸化を行えば、家賃所得が見込めます。

ただし、物件がある立地に需要があるかどうかや、初期費用・ランニングコストがかかるので、一度不動産会社に赴き、活用方法の相談をしてから決めてもいいでしょう。

空き家の活用方法12選!メリット・デメリット・注意点とユニークな有効活用の方法

Q.相続する実家の相談はどこにするのがいい?

実家所有者が存命であれば、身内と話し合ったうえで弁護士や司法書士に相談しながら、自筆証書遺言もしくは公正証書遺言の作成を進めましょう。

また相続税に関する相談は、税理士に相談しましょう。

ただし、相続人が複数人いる場合は、司法書士や弁護士を交えて遺産分割協議書の作成を行いましょう。

不動産売却の相談は誰にすべき?ケース・目的別に最適な相談相手を紹介!

実家売却では不動産一括査定サイトを活用すべし

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