相続した古いアパートを売りたい!売れにくい築古物件を相場以上で売るコツ
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一般的にアパートの構造は、木造か軽量鉄骨造が多いので、賃貸経営の旬はかなり短めです。
例えば築20年超の木造アパートを親から相続した場合、貸し続けても利益は見込めないので、売って少しでもお金を手元に残すようにします。
しかし、見るからにボロボロのアパートを売っても、果たしてお金になるのでしょうか?そもそも、不動産屋に販売を断られることはないのでしょうか?
今回は、古いアパートを高値で売るにはどうすれば良いか、そのノウハウを分かりやすく解説していきます!
→一棟アパート売却の価格相場はいくら?適正価格の求め方と高く売るための不動産会社の選び方古いアパートは見えないリスクが多数!持ち続けるより売ってしまうべき
古いアパートでも賃料を下げさえすれば経営を続けられることが多いですが、入居率が良くても目に見えないリスクは増えていきます。
最も大きなリスクが、入居者の質の低下です。例えば都心にある激安木造アパートでも入居率が良いものはありますが、こうした物件は家賃の滞納に悩まされる傾向があります。
家賃を下げれば、それに伴い入居審査も緩くするしかありません。そうなると虚偽内容で申し込んでくる方も増えていきます。
こうした人を抱えているリスクは大きいですが、一度審査に通してしまったら簡単に追い出すことはできません。
また、家賃が下がると働き口がない高齢者の比率が高くなります。中にはここを「終の棲家」と思っている人もいますが、いざ孤独死をされれば、アパート全体のイメージが下がってしまいます。
このように、入居率は良くても古いアパートには見えないリスクが沢山あります。今後のことを考えると、頃良い時期に売ってしまうのが安全です。
→相続したアパートは売るべき?高く売るためのコツと売却時の注意点・税金を解説古いアパートを売る時に知っておきたい「耐用年数」とは?
古いアパートの中でも売れるもの、売れないものがあります。
それは耐用年数といって、法で定められた安心して住める年数のことです。
耐用年数は、物件の構造によって以下のように決まっています。
区分 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 金属造(肉厚4㎜超) | 金属造(肉厚3~4㎜) | 金属造(肉厚3㎜以下) | 木造・合成樹脂 | 木造モルタル造 |
---|---|---|---|---|---|---|
法定耐用年数 | 47年 | 34年 | 27年 | 19年 | 22年 | 20年 |
この年数を過ぎると、物件は一気に売れにくくなります。
アパートに安心して住めるのは築20年前後までと考えたほうが良いでしょう。
→木造住宅の耐用年数とは?減価償却・査定への影響をわかりやすく解説!木造アパートの寿命は築65年?耐用年数を過ぎた物件にも入居者はいる
木造アパートの耐用年数は築22年と定められていますが、築65年までは何とか住めるという声もあります。
これは、2011年に早稲田大学の小松幸夫教授が算定した数値で、残存率(新築のままの部分と、リフォーム済の部分の割合)が50%になるまでの平均年数が65年というのを根拠にしています。
2013年に総務省統計局が発表した「建築の時期別住宅数―全国」というデータには、築何年の物件にどれくらいの割合が住んでいるかをまとめていますが、これを見ると古い物件にもかなりの人数が住んでいるのがわかります。
建築時期 | 実数(単位:1000戸) | 割合(%) |
---|---|---|
住宅総数 | 52,102 | 100 |
昭和25年以前(築68年以上) | 1,640 | 3.1 |
昭和26年~35年(築58年~67年) | 925 | 1.8 |
昭和36年~45年(築48年~57年) | 3,294 | 6.3 |
昭和46年~55年(築38年~47年) | 8,332 | 16.0 |
昭和56年~平成2年(築28年~37年) | 9,663 | 18.5 |
平成3~12年(築18年~27年) | 11,054 | 21.2 |
平成13~22年(築8年~17年) | 10,950 | 21.0 |
平成23年~25年9月(築7年以内) | 2,132 | 4.1 |
耐用年数を過ぎたからといって、絶対に売れないというわけではないのです。逆に古い物件でも状態が良ければ、安く買える分、買主からの人気は高くなります。
ただ、オーナーからすれば、リフォームをしてまで経営を維持すべきか疑問です。築年数の増加によって入居率は確実に下がるので、やはり費用がかさまないうちに売ってしまう必要があるでしょう。
古いアパートでも売却は可能!築年数別におすすめの売り方を紹介
古いアパートで、不動産会社に価値0と言われても、気に入ってくれる買主がいれば売却は可能です。
ただ、どれくらい古いかによって売り方は変わってくるので、その点は注意をしましょう。
ここからは、築年数別におすすめのアパートの売り方を解説していきます!
築20~30年のアパートは汚れや欠陥に気を付ければ成約可能
築20~30年くらいなら、耐用年数が過ぎていても十分成約を取ることができます。
ただ、共用部分の汚れや部屋のフローリングのキズなどで見映えが悪くなっていると価格が落ち、買い手もつかない可能性が高いので注意しましょう。
また、築年数が20年を超えると、目で見えない部分にも何かしらの欠陥が出てくるものです。売却前に必ず検査を依頼し、優良物件のお墨付きをもらうことをおすすめします。
住宅設備の状態に注意しよう
築年数が20年を超えたばかりの頃は、ちょうどエアコンなどの住宅設備の交換時期と重なります。交換直前にアパートを売ってしまうと、買主負担で交換しないといけないので購入を嫌がられてしまいます。
この際は、事前に検査をしてお墨付きをもらうか事前に交換をしておく、または交換にかかる費用を価格から引くなどの対応をするのがおすすめです。
築30~40年のアパートは業者買取がおすすめ
築30年を超えると、アパートはかなり売れにくくなってしまいます。
特に仲介売却だと、売れる可能性は非常に低いです。そのため、業者に買い取ってもらうのが一般的です。
ただ、業者に買い取ってもらう場合は居住者の立ち退きが必要となります。立ち退き料に決まりはありませんが、こちらの2通りの金額になることが多いです。
- 新居の入居にかかる費用全額(保証金・敷金礼金・仲介手数料など)
- 家賃の半年~1年分
立ち退きは売却の1年~半年前に入居者へ勧告をして、話し合いをしながら詳細を決めていきます。立ち退きはいわばオーナーのわがままであり、入居者には非が無いので批判を受けるかも知れないので覚悟しておきましょう。
→アパート売却時の立ち退き料はいくら?住人の退去を円滑に進める方法入居者の立ち退きが終われば、業者に買取依頼をしますが、ここで注意したいのがローン審査に通るかです。
ボロボロなアパートだと業者が買取OKを出しても、金融機関がNGを出す可能性があります。このケースだと買い取ってもらえないので、物件を立て壊して土地だけを売るようになります。
築40年を超えるアパートは立て壊したほうが高値で売れる
アパートが築40年を超えると、買い取ってもらえる可能性もかなり低くなります。この場合は、建物部分を解体し、敷地を売ることをおすすめします。
土地には古い・新しいといった概念がないので、立地が良ければ驚くほど高額で売れる可能性もあります。
解体費用の相場は、木造なら一坪3~4万円、RC造なら5万円前後です。
ただ、解体をしてもそのまま土地を売ることはできません。この時に必要なのが更地化作業です。
更地化作業は解体業者が立て壊しとあわせてやってくれますが、この時化粧砂を敷くサービスをオプションで利用するか聞かれます。
更地に真砂土などを敷くと見映えが良くなり成約率もアップしたいので、ぜひとも利用したいところですが、地域によっては高額費用がかかることもあります。
化粧砂を敷く作業は、だいたい解体費の5%程度取られます。自分でやれば1㎥あたり3,500~4,000円程度なので、場合によっては化粧砂を自分で敷いたほうがお得です。
業者に依頼するのと自分で化粧砂を敷くのはどちらがお得か、しっかりチェックしましょう。
解体費用をケチって安い下請け業者に依頼するのは絶対ダメ!
解体業者の中には、腕のよいところから、安い下請け業者まで様々あります。
特に最近は東南アジアなどから安い労働力を雇い、かなり安値の解体費用で仕事をする業者が増えています。
こうした業者に依頼するとお得に感じますが、解体後の出来を考えると不安が残ります。
特に注意したいのが、解体した後のゴミを処理場に運搬せず、地中に埋めてしまうケースです。
その上に建物を建てると、重みで埋没物が砕かれ、空洞部分がたくさん出来てしまいます。
中に穴が開いていると耐震性がかなり落ちてしまうので危険です。
引き渡し後に埋没物が見つかれば、高額の賠償を買主から請求されることもあるので注意しましょう。
→土地は更地にして売却すべき?解体費用・更地費用はいくらかかる?解体後は早めに売らないと固定資産税が高くつくので注意
建物を解体すると、かかる固定資産税が6倍になります。
固定資産税は売却の最中もかかってくるので、更地にしたら早く売らないと損してしまいます。
税金対策として最もおすすめなのは、解体費用の分だけ価格を下げ、引き渡し後に買主名義で更地にしてもらう方法です。これなら、売主の税負担を上げなくて済みます。
→不動産売却した年の固定資産税は誰が支払う?どう精算する?精算の方法・注意点を解説古いアパートを高値で売るためのポイント
古いアパートはどうしても価格が低くなってしまいがちです。
ですが、中には築古アパートをかなりの高額で売ったという人もいます。売却に成功する人と失敗する人はどこが違うのでしょうか?
ここからは、実際に高値売却をした人がやっていたポイントをわかりやすく解説していきます。
必ず東京都心の不動産会社に相談する
中古の一棟アパートを買う人は、そのほとんどが投資家です。勘違いする人は多いですが、中古アパートを狙っているのは、決して地元の人でも転勤者でもないのです。
では、投資家の多くがどこに住んでいるかというと、間違いなく東京、それも高収入者の多い都心です。
つまり、地方のアパートも彼らに向けてPRをしなければ、売却を優位にすすめることはできないのです。
特に今は不動産投資ブームが来ていることもあり、都心の不動産者へ投資初心者が相談に来るケースが増えています。
正直に言えば、東京の不動産屋と契約していれば、古いアパートでも営業マンが初心者を言いくるめて買わせることだって出来ます。
東京の不動産屋に相談をするというのは、アパート売却の重要事項なので覚えておきましょう。
買取査定は必ず複数社に依頼する
こちらも重要なポイントですが、古いアパートを買い取ってもらう際は、1社のみに査定依頼するのは損なのでやめましょう。
不動産会社の査定はあくまで「ウチならこれくらいで買い取りますよ」という”私見”になります。そのため、査定額が高い業者もいれば低い業者もいるのです。
古い考えの人だと「ウチは代々○○不動産しか利用しない」というケースもありますが、売却や買取に関してはこうした考えを早めに捨てましょう。
査定額を比較すると最大300万円以上の開きが出ることもあります。複数社から連絡が来て大変という人もいますが、少なくても3社以上には査定を依頼しておきましょう。
特に最近は一括査定サイトという、複数社に60秒ほどで査定依頼できるサービスもあるので、活用していきましょう。
→不動産一括査定サイトおすすめ比較ランキング!不動産売却におすすめの人気16社を厳選紹介【2024年最新】2020年までは古いアパートを売るチャンス!売り時を逃さないようにしよう
2020年の東京オリンピック特需で、日本の地価はかなり高騰しています。
特に首都圏では、バブル期よりも高い地価が付いているケースも珍しくありません。そのため、古いアパートでも高く売れるチャンスなのです。
更に、2016年以降のマイナス金利政策により、ローン金利はこの10年で2%近く低くなっています。
つまり、今は単に古いアパートが高く売りやすいだけでなく、投資家も物件を買いやすい最適な時期なのです。
「相続した古いアパートは売るべき?継続して賃貸に出すべき?」と、古いアパートの取り扱いに悩む人は年々増えています。高度経済成長やバブル経済の時期に買ったアパートが、子ども世代に受け継がれる時期が来たからです。
アパートの処分は最終的には本人が決めるものですが、もし売るのであれば今の機会を逃さないようにしていきたいですね!
→相続した不動産を売るには?売却の流れや相続税・売却時にかかる税金の注意点