3,000万円特別控除とは?不動産売却で税金の特別控除を受けられるケースについて解説
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不動産売却で損益が出ると、譲渡所得税というものが課されます。
→不動産売却でかかる税金はいくら?費用の計算方法から節税・控除のポイントまで分かりやすく解説
その中でも、マイホーム(戸建て+土地)の売却は高額になりがちなので、その分譲渡所得税の負担も重くなります。
そのため、マイホームを売る場合は税金の特別控除を利用できることになっています。
不動産売却における3,000万円の特別控除とは
3,0000万円特別控除とは、不動産売却に伴う譲渡所得に対する税制優遇措置の一つです。
この制度は、特に自宅の売却時に重要となります。自宅を売却した際に得た所得に対し、最大で3000万円までの特別控除を適用できるというもので、これにより所得税や住民税の負担を軽減することが可能となります。
この特別控除を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
- 売却する不動産が自宅であること
- 自宅を所有してから売却するまでに5年以上経過していること
さらに、自宅売却後、2年以内に新たな自宅を購入または建築することもこの特別控除の適用条件となります。
この制度は、自宅売却による資金移動を円滑にし、新たな住まいへの移転を支援する目的があります。
また、この3000万円特別控除は、所得が3000万円を超えた場合にも適用されますが、超過分については通常の譲渡所得として課税されます。不動産売却時に受けられる特別控除の種類
不動産売却で特別控除を利用するのは、一般的には上記のようなケースが多いですが、例えば以下のような場合でも控除を使えます。
- 公共事業のために不動産を売ったとき
- 区画整理のために土地を売ったとき
- 特定土地区画整理事業のために土地を売ったとき
- 特定住宅地造成事業のために土地を売ったとき
公共事業のために国が不動産を売却するよう依頼する場合には、特別控除を利用することができます。
特別控除を利用するとかなりお得に
不動産売却時に特別控除を利用すると、所有期間に関わらず最大3,000万円まで税負担を抑制することができます。
マイホームを売ったときの譲渡所得税は100万円前後にはなるので大きな負担ですが、特別控除を利用すると大抵の場合、譲渡所得税は全額免除となります。
不動産の売却代金を住み替え費用に使った方などは税金を支払うだけの余裕が残ってないことも多いので、必ずこの制度を利用することをおすすめします。
不動産売却時に特別控除を利用できる条件
不動産売却時に控除を利用するには、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 自分の住まいを敷地と共に売ること
- 2年以内にマイホームの買い換え・交換特例や繰り越し控除の特例などを受けていないこと
- 災害によって住まいがなくなった土地を売る場合は、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
- 物件を立て壊して土地のみを売却する場合は、売買契約が取り壊し完了から1年以内に結ばれていること。また、その間に敷地を駐車場利用などに使っていないこと
- 売買者が赤の他人である(親戚や夫婦間など、近しい間柄以外)こと
そこまで難しい条件はありませんが、立て壊しから1年以内に売買契約を結ぶ必要があるというのは、地方の土地を売る場合などは買い手が見つかりづらいので厳しいかもしれません。
不動産売却で税金の特別控除を受けられるケース
住宅ローン減税
不動産の購入に伴う借入金の利子について、一定の条件下で所得税及び住民税の控除を受けることができます。
これは「住宅ローン減税」と呼ばれ自分が住むための新築住宅を購入した場合、借入金利の一部を所得から控除することができます。
この制度を利用することで、不動産の購入費用を抑えつつ、税負担を軽減することが可能となります。
長期保有特例
不動産を長期間所有し、それを売却する場合には「長期保有特例」が適用されます。
具体的には、土地や住宅を5年以上所有し、その後売却した場合、売却益の一部を課税対象から除外することができます。
この特例は、長期間にわたって不動産を所有することで生じる付随的なコスト(メンテナンス費用や固定資産税等)を補填する目的があります。
特別控除の対象となるリフォーム
自宅のリフォームにかかった費用の一部について、税金の特別控除を受けることができます。
具体的には、省エネルギー対策やバリアフリー改修など、公的に推奨されているリフォームを行った場合、その費用の一部を所得から控除することが可能です。
住環境の改善やエネルギー消費の削減を促進するために設けられています。
4. 中古住宅の取得に関する税制措置
一定の条件を満たした中古住宅を購入し、それをリフォームする場合には税制上の優遇措置があります。
中古住宅の取得価格とリフォーム費用の一部を合算し、それに対する控除額を所得税から減税することが可能です。
5. 配偶者控除
不動産売却時の所得に対して適用される配偶者控除もあります。
配偶者の年収が一定額以下の場合、所得者の所得税から一定額を控除することができる制度です。
配偶者の年収が103万円以下の場合、最大で38万円の控除が受けられます。
6. 災害損失控除
不動産が自然災害などにより損害を受けた場合、その損失額に対する控除を受けることができます。
火災、地震、洪水、風水害などにより不動産が損害を受けた場合、その損失額から保険金等を差し引いた金額を所得から控除することが可能です。
予測することができない自然災害に対して税金を控除してもらうことが可能です。
特別控除を受けられないケース
マイホームを売却する場合は基本的に特別控除を利用することができます。
ただ、不動産の状況などによっては適用を除外させることもあります。
以下のようなケースは除外されるので、注意しましょう。
- 特別控除を利用することのみを目的としている場合
- 一時的な目的で入居していた場合
- 趣味や娯楽目的で所有していた場合
こうしたケースは国税庁のホームページにも記載されていますが、少し言い回しが難しいです。
具体的な事例に当てはめると、それぞれどのようなケースとなるのでしょうか。
1. 特別控除を利用することのみを目的としている場合
複雑な言い方ですが、これはつまり「特別控除を利用することを目的として物件を購入した場合」ということです。
これに関しては税務署も事実判定がしにくいですが、住まいとして利用していたのであれば濡れ衣を着せられるようなことはありません。
ただ、注意をしてほしいのは、この条文は「特別控除を目的として売却した場合」ではなく「購入した場合」であるということです。
長年住んでいたからといって条件が緩和されるといったことはないので注意しましょう。
2. 一時的な目的で入居していた場合
事務所として利用した、引っ越し前の仮住まいとして利用した、短期出張のために購入した不動産を売る場合は控除を受けることはできません。
マイホームを一時的に利用するというのは、普通に考えるとよほど裕福でなければできない行動のようにも思えますが、例えば以前、相続した不動産の名義を自分に変更していた場合など、自分で購入しなくても成り行きで家を複数件持っている場合というのも十分あり得ます。
相続された状況にもよりますが、この条件にひっかかってしまうことは意外と多いです。
3. 趣味や娯楽目的で所有していた場合
別荘や、以前に買い取った有名人ゆかりの物件など、趣味・娯楽・保養目的で購入した物件を売るときには控除は適用されません。
中には趣味としての利用と住居としての利用が共存している場合もありますが、基本的には住まいとは別に所有している不動産が適用除外の対象となります。
3,000万円特別控除の手続き
3,000万円特別控除は、売却の翌年2月16日から3月15日※に、確定申告をおこなって控除の申請をこないます。
※確定申告の期間は、各年の暦に応じて変わります。
手続きをおこなう際に必要な書類については、詳しく後述します。
手続きに関する細かいルールは、お近くの税務署や、税理士に相談することができます。
相談の予約にも時間はかかってしまうので、申告期限までに余裕をも持っておこなう必要があります。
3,000万円特別控除の必要書類
3,000万円特別控除を適用するために必要な書類は、下記の通りです。
- 譲渡所得の内訳書
- 戸籍の附票の写し
- 売買契約書の写し
- 売買時にかかった費用の領収書の写し
これらの書類は国税庁のHPなどから取得することができます。
状況によっては役所から取り寄せ発行が必要な書類などもあるので、こちらも時間に余裕をもって手続きをおこないましょう。
不動産売却の特別控除に関してよくある質問Q&A
不動産売却の特別控除とは何ですか?
不動産売却の特別控除とは、税法上特定の条件を満たす不動産(主に自宅)の売却に際し、所得税および住民税から一定額を控除できる制度のことを指します。
これにより、売却による所得がある場合でもその一部が課税から除外され、税負担を軽減できます。
特別控除の対象となる不動産は何ですか?
特別控除の対象となる不動産は、主に次の3つです
- 5年以上所有し、その間に自己が居住していた家屋及びその敷地
- 建物が無い場合でも、5年以上所有し、その間に自己が居住していた敷地
- 配偶者等が所有していても、自己や配偶者等が居住していた家屋及びその敷地
特別控除の額はどのように決まりますか?
特別控除の額は、不動産の売却価格やその他の所得などにより決まります。
2023年時点では、控除額の上限は3,000万円とされています。
ただし、控除額は売却所得が控除額を下回る場合は売却所得額となります。
3,000万円特別控除を利用できるかどうか事前に相談しておく
ここまで特別控除を受けることができる条件などを細かく見てきました。
注意しておけば、概ねクリアできそうなものばかりですが、「引っ越し後〇年以内」といった条件は意外に忘れてしまいがちです。
不動産売却は1年近くかかってしまう場合もあるので、こうした期間に関する条件などは特に確認しておきましょう。