
中古住宅を売る方法とは?売却時の流れや注意点を徹底解説
「新しい家に引っ越す」「まとまった資金が欲しい」などの理由で、中古住宅を売却したいと考えていませんか? 住宅は購入する経験はあっても売却したことがある人は少ないので、どのように売却すればいいか悩むはずです。
せっかく売却するなら、できるだけ高額で売る方法を知りたいですよね。
この記事では、中古住宅を売却する流れやコツ、注意点を解説します。
→家を売る方法を徹底解説!売却の流れ・手順と成功の極意
”中古住宅”の築年数の幅は広い
そもそも中古住宅とは、次の定義に当てはまる物件です。
項目 | 中古住宅 | 新築住宅 |
---|---|---|
入居状況 | 入居済み | 未入居 |
築年数 | 建築後2年以上経過 | 建築後2年以内 |
例え半年で新築物件を売却したとしても、入居していれば扱いは中古物件になります。
そのため、住んでいる家を売る時は必ず中古住宅として扱われます。
中古住宅は新築住宅に比べて売出価格は下がりますが、現物確認しやすく購入しやすい価格などのメリットがあるため、売却時に不利に働くことはありません。
→古い家を売る方法!築40年超のボロ屋売却の問題点と高い価格で売るコツ中古住宅は売却しても高値がつかない?
戸建住宅は築年数の経過によって資産価値を下落させるため、中古住宅は高値が付かないと思われがちです。
実際に、新築ではなく中古住宅の購入を希望する方は、安く物件を仕入れた後にリフォーム・リノベーションを実施することを想定していることが多いです。
中古住宅の売却価格相場は上昇中
ただし、中古住宅の売却価格相場は、近年上昇を見せています。
これは、2013年ごろから日本全体で起こった地価高騰のあおりを中古の戸建て住宅も受けているのが理由です。
価格を決める要素は築年数以外もある
価格に影響するのは築年数だけではありません。
例えば、周辺地域の評価や土地の状況が良ければ、中古住宅でも高額での売却が可能です。
状況によっては、売却価格が購入時の価格を上回るケースもあります。
中古住宅を売る流れ
- 複数社に査定依頼をする
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動
- 決済・引き渡し
- 確定申告
中古住宅を売る流れは上記のようになっています。
売却活動をする前には査定依頼をして不動産会社を決める必要があります。
基本的に不動産の売却では、不動産会社が売却活動を担当してくれるため、すること自体はほとんどありません。
また、家を引き渡した後も確定申告をする必要があるので忘れないようにしましょう。
以下にそれぞれのステップごとに解説していきます。
【Step1】複数社に査定依頼をする
家を売却することを決めると、まずは不動産会社に査定依頼します。
不動産査定の方法は不動産会社に直接頼む「訪問査定」をするのが一般的で、直接売却する住居まで来てもらっていくらで売れるか査定してもらいます。
査定金額に満足した会社に依頼して売却活動を進めることになりますが、一社だけに依頼すると相場に合っているかわかりません。
そのため複数社に査定依頼を出して、正確な相場を把握することが重要です。
【Step2】媒介契約を結ぶ
査定してもらった不動産会社の中から、住宅を売却してもらう会社を選んで媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産会社に仲介を頼んで、買主を探してもらう契約です。
媒介契約を結ぶと、不動産会社が買主を見つけて引き渡しが成立したタイミングで、仲介料を支払う必要があります。
ただし、不動産の買主を自力で見つけるのはほぼ不可能なので、不動産会社と媒介契約を結んで依頼するのが一般的な方法です。
媒介契約には複数社に頼む「一般媒介契約」や、一社に完全に依頼する「専任媒介契約」などがあります。
【Step3】売却活動
媒介契約を結ぶと、売却活動が始まります。
買い手を集めるためのチラシを配り、さらに買主の内覧に対応します。
不動産会社が集客活動はしてくれるため、内覧時に対応するだけで構いません。
内覧時にはある程度掃除をして買いたいと思ってくれるようにしておく必要があります。
【Step4】決済・引き渡し
買主が見つかって売買契約を結ぶと引き渡しです。
売買契約前には売却条件や価格など細かい部分を決めてから行います。
不動産会社から重要事項説明を買主にされると契約は完了で、買主から代金が支払われます。
売却時には登記手続きを行うため、引き渡しが完了すれば不動産登記名義が変更されます。
【Step5】確定申告
不動産を売却して得た利益には「譲渡所得税」が発生するため、確定申告をする必要があります。
譲渡所得税は住んでいた期間が5年以上か5年未満かによって税率が変わるので、事前に確認しておきましょう。
確定申告は売却した翌年の2月16日~3月15日までに行う必要があるので、忘れずに対応しましょう。
また売却損が発生した場合は確定申告の義務はありませんが、確定申告をしておけば優遇措置制度を利用できることもあります。
そのため、基本的には確定申告をすると考えておきましょう。
→家の査定はどこを評価する?よく見られる6つのポイントと失敗しないための注意点中古住宅を売却する際のコツ
中古住宅を売却する際は、次のコツを実践することでスムーズに売れることや高値で売れることがあります。
- 不動産買取を依頼する
- ハウスクリーニングをする
- 査定価格だけで不動産会社を選ばない
中古住宅を売る際は、できるだけ高値・スムーズに売りたいですよね。
以下にそれぞれ解説していきます。
不動産買取を依頼する
スムーズに住宅を売却したい人は、不動産買取を依頼しましょう。
不動産買取とは、買主を探す仲介とは異なり、不動産会社が住居ごと買い取ってくれる方法です。
不動産会社に仲介してもらったとしても、買い手が見つからなければ家を売ることはできません。
予想よりも売却期間がかかってしまうこともあるので、即座に売却したい人には仲介してもらう方法は向いていません。
不動産買取であれば2週間~1か月程度で不動産会社が買取してくれるため、素早く売ることができます。
ただし、不動産買取の買取価格は仲介の約7割程度と低めに設定されているため、できるだけ高額で売りたい人は仲介を選びましょう。
→不動産買取とは?業者買取と仲介売却のどっちがお得?メリット・デメリットと注意点を解説ハウスクリーニングをする
中古住宅を売却する際は、ハウスクリーニングをしておくことで売却額が上がることがあります。
ハウスクリーニングをする義務はありませんが、査定には水回りやキッチンの状況も影響するので綺麗にしておくと高価格がつけられやすくなります。
綺麗にしていなかっただけで本来の査定金額よりも安値がつけられるのはもったいないです。
多少金額がかかりますが、売却額を上げたいのであればハウスクリーニングして家を綺麗にしておきましょう。
買主が内覧に来るときのアピールにもなります。
査定価格だけで不動産会社を選ばない
査定価格だけで不動産会社を選ばないように気をつけましょう。
中古住宅の査定依頼は複数社に頼むのが一般的と説明しましたが、中には他の会社よりも明らかに高額な査定金額を提示してくる会社もあります。
複数社に査定依頼してもらったとしても、差額は数万~数十万円に収まります。
数百万円ほど差がある会社は明らかに相場からずれているため、たとえ高額な査定金額を出したとしても買い手が現れず、安値で売却することになります。
そのため、査定価格が高額だからと言って、契約を結ばないように気をつけましょう。
不動産会社を決める際は、査定価格の説明の分かりやすさやトーク力など、総合的な視点で信頼できる担当者に依頼するべきです。
中古住宅を売る際にかかる税金・費用
仲介手数料
不動産会社に支払う成功報酬で、売買価格に比例して高額になる特徴があります。
取引額(不動産の売買価格) | 仲介手数料(法定の上限額) |
---|---|
200万円以下 | (売買価格×5.0%)+消費税 |
200万円超400万円以下 | (売却額×4.0%+2万円)+消費税 |
400万円超 | (売却額×3.0%+6万円)+消費税 |
例えば、中古住宅が2,000万円で売れた場合、支払う仲介手数料は66万円+消費税となります。
譲渡所得税
売却益(購入時の費用を売却価格が超えるケース)が発生した場合、売却価格と購入費用の差分に対して課されるのが、譲渡所得税です。
譲渡所得税は、下記の計算式で求められます。
譲渡所得税=税率×{譲渡価格-(取得費+売却費用) }
税率は、所有期間が5年未満か5年以上かによって、下記のように変化します。
税区分 | 不動産の所有期間 | 所得税※ | 住民税 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年未満 | 30.63% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年以上 | 15.315% | 5% |
※所得税に復興特別所得税2.1%を上乗せ
印紙税
売買契約書に貼付される収入印紙の税金で、契約金額に応じて異なります。
2022年5月に宅地建物取引業法の施行規則が一部改正され、2023年では売買契約も電子で締結できるようになりましたが、電子契約の場合は印紙税を支払う必要がありません。
登記費用
物件に抵当権が残っている場合、その抹消にかかる登記費用が必要です。この費用は1万円から5万円程度です。
その他にも、被相続人名義を相続人に変更する相続登記や、売主名義を買主に変更する所有権移転登記などがあります。
その他費用
測量費、解体費、廃棄物の処分費、ハウスクリーニング費など、状況に応じて追加の費用が発生することがあります。
中古住宅を売る際の注意点
中古住宅を売る際の注意点は次の4点です。
- 瑕疵がないか確認する
- 売却時にも費用が掛かる
- 査定前にリフォームしない
- ローンを完済しないと売れない
上記の点に気を付けていないと、余計にコストがかかることや売却できないことがあるので気をつけましょう。
以下にそれぞれ解説していきます。
瑕疵がないか確認する
中古住宅の売却後に、最もトラブルになりやすいのが瑕疵担保責任です。
瑕疵とは不動産にある欠陥のことで、雨漏りやシロアリ被害などの物理的瑕疵や、死亡事故などの心理的瑕疵があります。
売主には瑕疵担保責任があり、家を売却した後に瑕疵が判明すると元の売主が賠償金を支払う必要がある制度です。
事前に不動産会社に告知していれば問題ありませんが、売却価格を下げたくないからと言って隠していると後に賠償責任問題になってしまいます。
不動産査定してもらうタイミングで、瑕疵がないか必ず報告しておきましょう。
売却時には費用が掛かる
中古住宅を売却する際にも5~7%の費用が掛かります。
具体的には、次の要素がコストとしてかかります。
項目 | 費用 |
---|---|
仲介手数料 | (売却額×3%)+ 6万円 + 消費税 |
印紙税 | 1,000円〜30,000円 |
抵当権抹消費用 | 5,000~20,000円 |
ローン一括返済費用 | 10,000~30,000円 |
譲渡所得税 |
|
売却時に支払う仲介手数料は売却額から差し引かれます。
不動産の売却額がそのまま資金として使えるわけではないため理解しておきましょう。
査定前にリフォームしない
築年数が古い住宅や、汚れが目立つ場合はリフォームをしてから売却しようかと考える人もいますが、先にリフォームするのは避けましょう。
リフォームには数十万~数百万円の資金がかかるので、売却額が上がらない場合は損する可能性もあります。
例えばリフォームを100万円使ってしたとしても、売却額が本来の金額から50万円しか上がらないと大きな損失です。
そのため、リフォームしたい場合は一度不動産会社に査定してもらってから、リフォームするかを相談すると良いです。
ローンを完済しないと売れない
住宅ローンが完済されなければ、住宅は売れません。
住宅ローンにはローンが返済できない時用に、金融機関は住宅を担保にする抵当権を設定しています。
そのためローンを完済して抵当権を抹消しなければ、金融機関が不動産の所有権を持つことになるため、第三者に不動産を渡すことができません。
一般的には売る住宅の売却益を住宅ローンの残債に当てて返還することが多いですが、資金にゆとりがあれば別で支払っても構いません。
住宅ローンの返済ができるかの資金計画をまず確認してから、住宅を売りに出すようにしましょう。
中古住宅を売る時はまず不動産会社に査定してもらおう
中古住宅を売る方法としては仲介と買取の二種類がありますが、どちらにせよ不動産会社に査定してもらってから始めます。
中古物件を売るためには住宅ローンを完済する必要があるなど、注意点がいくつかあるので間違えないようにしましょう。
また売却してからも確定申告をする必要もあります。
中古住宅を売ろうと考えている人は、まずは不動産会社に連絡して査定価格を聞いてみると頃から始めましょう。
