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土砂災害警戒区域の不動産は売却できる?売却するリスクや売却価格への影響について詳しく解説

【更新日】2023-12-14
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土砂災害警戒区域の不動産は売却できる?
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日本は自然災害による不動産の損害が多く、災害の危険があるエリアの不動産を売ろうとしても、多くの人から敬遠されてしまいます。

「自然災害に遭いやすい物件だけど売りたい!」という人は、通常の不動産売却と違った方法で売る必要があります。

今回は災害の危険が予測されるエリア「土砂災害警戒区域の不動産」に絞って、どのように売却するのが良いのか解説します。

「土砂災害警戒区域の不動産をなんとしてでも売りたい!」という人は参考にしてください。

不動産売却の方法ガイド|不動産を売るなら読むべき鉄則!成功した人の共通点

土砂災害警戒区域の不動産は売却できる?

「そもそも土砂災害警戒区域の不動産は売却できるの?」と疑問に思う人もいますよね。

結論から言うと、土砂災害警戒区域の不動産を売ることは可能です。

特に大きな規制も無く、売買契約を結ぶことができます。

ただし、土砂災害警戒区域の不動産だからこそ買主に告知しなければならないものもあります。

売却できるが買主に告知義務がある

土砂災害警戒区域は、物件・建設の売買に関して制限はありません。

しかし売却予定の買主に、そのエリアが土砂災害警戒区域に入っている不動産ということを告知する必要があります。

買主にはリスクになりますが、相場が大きく下がることはありません。

ただし土砂災害警戒区域は、土砂災害特別警戒区域に繰り上げされてしまう可能性があるので、売却する時は不動産会社に相談しましょう。

土砂災害が大きい不動産に設けられる規制

土砂災害の危険エリアは土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域の2つに分かれています。

それぞれのエリアによって、不動産の売却条件が異なります。

これから各エリアの規制内容を説明するので、不動産売却を考えている人はチェックしておきましょう。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)

土砂災害警戒区域とは、土砂災害の恐れがある区域で、ハザードマップではイエローゾーンになります。

その区域にある不動産には、制限がなく、一般不動産同様に売買が行えます。

土砂災害の危険性を予想するのは難しくなる為、現時点で土砂災害の可能性がある地域を土砂災害警戒区域として設定されています。

売主は買主に対して上記の事柄を告知する義務があります。

国からの承諾や市区町村の役場からの承諾は不要で、売却することができるので、土砂災害特別警戒区域と比べると売りやすいです。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)

土砂災害特別警戒区域は、土砂災害警戒区域よりも危険度が高いエリアです。

ハザードマップではレッドゾーン扱いで、売買契約を結ぶ時は県知事の許可が必要です。

災害特別警戒区域の不動産売買は、手続きが難しくコストもかかります。

災害特別警戒区域は元からエリア指定されているのを知っていて居住している人は少なく、居住中に災害特別警戒区域に指定された人が多いです。

災害特別警戒区域に指定されると、不動産の価格は大幅に下がり買手がほとんど見つかりません。

造成宅地防災区域

造成宅地防災区域とは、造成された宅地のうち、地震によって地盤や地層が傾いてしまう可能性があるエリアを指し、宅地造成等規制法に則って、エリアが決定します。

造成宅地防災区域には、自然にできた傾斜地だけじゃなく、人工的につくられた崖地も指定区域になる場合もあります。

当エリアにある不動産を持つ方は、擁壁の設置といった災害防止策をとるよう、都道府県知事から指導が入ります。

崖の近くにある家・土地

崖の近くにある家や土地もまた、先ほど紹介してきた3つの区域同様、危険とみなされています。

崖に近い土地に建っている住宅は、崖の崩落に伴って発生する土砂に巻き込まれる危険性や、土砂そのものが家の中に流れ込んでくる危険があります。

今でこそ、積み上げた土が崩れない安息角を保っている状態ですが、豪雨などで安息角が崩壊し土砂を発生させる可能性があります。

安全を確保するために、崖の近くに建つ家や土地には、崖の高さから2倍以上の距離をとって建設に着手しなければなりません。

土砂災害警戒区域にある不動産の売却価格

土砂災害警戒区域にある不動産の売却価格は、災害リスクが明示されているため、通常、瑕疵がない物件と比較して大幅に下がる傾向にあります。

これは、購入者側のリスク認識によります。

すなわち、災害が発生した場合に被害を受ける可能性が高く、そのリスクを負うことによるディスカウントが価格に反映されるためです。

一方、価格差には幾つかの要素が影響します。

例えば、警戒区域の中でも、災害発生確率、予想される被害規模、周囲の環境やアクセス、施設等のロケーション要素も重要です。

これらは不動産価格に大きく影響を及ぼし、これらの要素が良好であれば価格差は縮小する可能性もあります。

また、不動産の状態や築年数、修繕状況、建物の設備など物件自体の品質も売却価格に影響を与えます。

これらの要素が優れていれば、それらが価格下落の一部を補うことも考えられます。

しかし、一般的には、災害リスクが付随する物件の売却価格は瑕疵がない物件に比べて相対的に低いです。

土砂災害警戒区域の土地価格相場

土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されている土地であっても、不動産売却における制限はありません。

通常の土地売却同様、売主の意向で価格設定ができる一方、相場価格の範囲内で売却活動を行うのは難しいです。

ここでは、通常の土地価格との違いを踏まえながら、土砂災害警戒区域の土地価格相場について解説します。

土地の市場相場から20~30%ほど安くなる

土砂災害警戒区域内の土地価格相場は、通常の市場価格に比べておおよそ20~30%低いとされています。

その理由として、該当地域が災害発生のリスクを抱えていることが挙げられます。

このリスクにより、購入意欲を抑制する結果となり、売却価格が下がる傾向にあります。

購入者は、災害が発生した際に生じる可能性のある損失や、安全性の確保に伴う追加的な費用を考慮します。

それにより、同等の条件の物件が存在する場合、災害リスクのない土地を選択する傾向があり、結果的に価格相場が低下します。

土砂災害特別警戒区域の土地価格相場はさらに下がる

更にリスクが高いと判断される「土砂災害特別警戒区域」の土地価格は、一般の警戒区域よりもさらに下がります。

特別警戒区域とは、特に災害発生の危険性が高いと認識されるエリアを指します。

このエリアでは、災害発生時の被害が極めて大きくなる可能性があるため、購入者がさらにリスクを回避する傾向が強まります。

その結果、市場価格からのディスカウント率は、通常の警戒区域よりも大きくなり、価格相場は最低でも相場の半分以下にまで下落します。

土砂災害特別警戒区域の相続税評価額は通常よりも安い

土砂災害特別警戒区域の土地については、相続税の評価額も通常よりも低く設定されます。

これは、税法上の評価基準に、災害リスクが反映されるからです。

この措置は、相続人が適正な税負担を担うためのもので、その土地が市場で取引される際の価格に影響を及ぼします。

つまり、相続税の評価額が低いことは、それだけ市場価格も低いという意味になります。

これは、災害リスクに対する市場の評価が、税法上の評価にも反映されていると言えます。

土砂災害警戒区域にある不動産の売却で気を付けること

土砂災害に巻き込まれる可能性がある不動産も、一般住宅同様に売却ができる一方、豪雨や地震などの自然災害に見舞われれば、大切な資産を失うリスクを抱えています。

ここでは、土砂災害警戒区域にある不動産の売却で気を付けることを、指定区域の特徴ごとに解説していきます。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)にある場合

先ほども触れましたが、土砂災害警戒区域や、後述する土砂災害特別警戒区域は、土砂災害防止法に則って指定された区域になります。

年々指定範囲を広げているところですが、売却を検討している物件が土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されていない可能性もあります。

特に、土砂災害警戒区域に指定されている不動産の売却には、目立った規制がないうえ、売却価格が相場以下になることもありません。

しかし、年々増え続けている地震や台風などを危惧して、購入そのものを懸念する人もいます。

よって、砂災害警戒区域に入っている不動産や、これから入る可能性がある不動産を売却するときは、売却価格を相場価格よりもやや低めに設定するのが妥当です。

無論、極端な低額で売りに出すと、かえって買い手から怪しい目で見られてしまいます。

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)にある場合

土砂災害特別警戒区域に建つ不動産は、家屋の崩壊や人命に関わるなど、危険と隣り合わせの状況にあるため、売買契約の前振りとして、都道府県知事の許可を得ておく必要があります。

また、建て替え時には、土砂が流れ込んでくる可能性を考慮して、鉄筋コンクリート造にするなど、土砂被害に耐えられるだけの強度と耐久性を持ち合わせておかねばなりません。

このように、多方面で規制がかかっているため、売却価格が相場価格よりも大幅に減額される可能性が高いです。

また土砂災害特別警戒区域に建つ不動産を売却する際は、エリアの特性を理解しておく必要があります。

もし理解していない状態で売却を進めてしまうと、トラブルに発展してしまう可能性があります。

よって、土砂災害特別警戒区域に建つ不動産を売却するときは、土地の特性を理解していることと、特別警戒区域の売却に長けている不動産会社に依頼するのがベストです。

売却が困難なら買取を視野に入れる

土砂災害特別警戒区域に入っている不動産の売却は、前・後述するエリアに建つ不動産の売却よりも難しいうえ、数多の規制を受けています。

低額で取引できるといっても、命を亡くす危険と隣り合わせてある以上、好んで取引に応じる人は極めてまれです。

売却価格を相場以下まで落としても、買い手がつかないときは、業者買取を選択するのがベストです。

業者買取では、土砂災害特別警戒区域にある不動産でも、利用価値がある物件であれば、買い取ってくれます。

ただし、設けている売却価格よりも、さらに低額で買い取られる可能性もあるので、業者買取は、最後の手段としてみるのが妥当です。

造成宅地防災区域にある場合

造成宅地防災区域内にある土地を持つ方には、擁壁等の措置を行ってもらうなど、法面の崩落などの災害を防止に務める責務があります。

さらに、都道府県知事から是正勧告や改善命令を受けることもあります。

よって、造成宅地防災区域内にある土地を売却する際は、買い手に正確な情報を告知しなければなりません。

もし、告知を怠れば契約不適合とみなされ、損害賠償や契約解除を請求されます。

崖の近くにある家・土地の場合

崖の近くに建つ不動産に設けられている建築規制の内容は、地方ごとの建築条例に則って内容が構成されています。

そのため、建築規制を確認するときは、対象敷地の存する自治体の条例を閲覧することで確認が取れます。

例えば、東京都建築安全条例の第6条第2項では、「自己敷地内に高さ2m以上の擁壁を築造することで、建築が認められる」と明記されています。

よって、条例に触れる土地を売却するときは、土地の管轄を担う自治体が定めた条例を閲覧して、制限内容を正しく認識しなければなりません。

交渉中に土砂災害が起きたときの契約の行方

不動産会社に仲介をしてもらい、買主と売買契約したものの交渉中に災害が起きた場合どうなるのか解説します。

土砂災害警戒区域に指定された不動産を購入する人は、土地自体に期待していない人が多いです。

しかし、売却交渉中に予想外のトラブルで物件が損害を被り売主が大損してしまうケースもあります。

売買成立後は売主の責任にならない

原則、売買契約の成立した後に損害が発生しても買主の責任になります。

不動産を購入した後は、直ぐ家を引き渡してもらえる訳では無く、引っ越しやローン契約といった手続きをした後に引き渡されます。

住み始めるまで1~2週間程時間がかかり、その間に災害が発生し物件が損害を被った場合、住み始めていませんが買主が修理費用を負担します。

債権主義というものがあり、物件に対して債権を持っている人が費用を負担する扱いとなるので、買主が負担しなければなりません。

買主からすると、一度も住んでいないのに修理費がかかるのはおかしいと思いますが、原則そのような決まりになっています。

危険負担によって買主・売主の負担が変わる

万が一、売却交渉中に物件が損害を被った場合トラブルになるケースが多いです。

トラブルにならない為にも、契約書に危険負担について取り決めをしておきましょう。

危険負担は、不動産を引き渡しする前に物件が災害で損害してしまった場合の修理負担はどうなるか取り決めることができます。

危険負担について記載せず売買契約を結ぶと、原則買主の責任担ってしまうので買主は必ず危険負担の取り決めをしましょう。

危険負担はあくまで売主・買主両方に過失が無い場合に適用されます。

片方に過失が合った場合は負担する必要があるので注意しましょう。

危険負担で気をつけるべきケース

売買契約を結んだ後は、基本的に契約がキャンセルことはありません。

万が一キャンセルしたとしても、手付金を返金する必要が無く買主にとってメリットがありません。

しかし引っ越す前に契約を結んだ不動産の近辺で災害が発生した場合、買主が住むのは怖いと感じてキャンセルしてしまう場合があります。

売主は買主を失った上に家を修理する必要があり、手付金をもらった状態だとしても損失が大きいです。

上記のことから危険負担の取り決めの際は、修繕可能な損害の場合、契約解除不可という取り決めも記載しておきましょう。

家がなくなった場合契約は強制解除

危険負担は家に損害が発生し修復可能なケースです。

売買契約を結んだ後に物件が災害によって完全に破壊された場合は異なります。

住める家がなくなった為、売主は契約を果たすことができません。

契約は破棄され、買主が負担することは無く手付金も返還されます。

土砂災害警戒区域にある不動産の売却に関するQ&A

ここでは、土砂災害警戒区域にある不動産を売却する前に知っておきたいことや、解決しておきたい疑問を質問形式で解説していきます。

Q.土砂災害警戒区域の調べ方は?

国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトから調べられます。

サイト上の「土砂災害」を選択し、調べたい場所を入力すれば、該当箇所が土砂災害区域及び土砂災害特別警戒区域に該当しているかが分かります。

なお、警戒区域は通年を通して見直しが実施され、毎年、市町村から依頼を受けた調査員が確認を行っています。

そのため、保有している急傾斜地が警戒区域に指定されていることもあるので、都度確認しておきましょう。

Q.不動産が土砂災害警戒区域に指定されたら?

警戒避難体制の整備として、以下の活動を始めます。

警戒避難体制の整備

  • 地域防災計画への記載
  • 災害時要援護者関連施設の警戒避難
  • ハザードマップの作成・周知
  • 不動産売買時に告知する必要がある

Q.不動産が土砂災害特別警戒区域に指定されたら?

前述した活動と並行して、厳重な規定が課せられます。

警戒避難体制の整備

  • 特定の開発行為(住宅地分譲や要援護者利用施設)が許可制になる
  • 建築物の構造規制
  • 移転勧告
  • 土地柄に関する説明を買い手する義務の発生

Q. 土砂災害の被害に遭っても国費による補償は下りない?

原則として、自然災害に遭った家などが崩壊しても、国費による補償は下りず、自費で対応するしかありません。

とはいえ、民間の保険会社が設けている火災保険に加入しておくと、保険内容の「水災補償」で対応できます。

火災保険に加入するときは、水災補償と風害補償に対応していることを確認してから契約へと進みましょう。

土砂災害警戒区域の不動産は危険負担を決めて売却しよう

土砂災害警戒区域の不動産を売却しようと思うと、売主に対するリスクが大きくなります。

保険に入っていても、契約から引き渡しまでの期間に問題が起きれば損をしてしまいます。

土砂災害警戒区域は、災害のリスクはエリアや季節によって変わります。

売却予定のエリアを熟知している不動産会社に相談して、予めリスク対策をした上で売却相談しましょう。

また、どうしても買主が見つからない場合は不動産会社に買取ってもらう方法で相談しましょう。

不動産会社の買取は、通常の不動産売却に比べて価格が大きく下がりますが、スムーズに買取ってくれます。

「土砂災害警戒区域の不動産をいち早く売りたい!」という人は、まず一括査定サービスで相場を把握してみましょう。

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