
ファミリークローゼットの便利さは動線で決まる!おすすめの間取りと失敗しないためのポイントも解説
収納は暮らしやすさを左右する重要な要素。
限られたスペースを有効に活用し、家族と過ごす空間をより快適にしたいという思いから、ファミリークローゼットの導入を検討するご家庭は増えています。
しかし、ファミリークローゼットはただ取り入れるだけではその便利さを活かしきれず、もったいない結果となってしまうことがあるので注意が必要です。
大切なのは動線を意識した間取りと運用方法です。
ファミリークローゼットで失敗しないためのポイントを押さえて、生活スタイルに合った快適な空間をつくっていきましょう。

ファミリークローゼットとは
一般的にクローゼットといえばそれぞれの部屋に各々の洋服を収納するイメージです。
しかし、ファミリークローゼットは1か所の収納スペースに家族全員分の衣類などをまとめて収納しておくものです。
部屋着、下着、リネン類、スーツや制服など、ファミリークローゼットに収納できるものは様々です。
収納を1ヵ所にまとめることで、生活動線や家事動線をシンプルにすることができ、効率的で無駄のない住まいづくりが可能になります。
ファミリークローゼットのメリット
具体的にどんなメリットがあるのか紹介していきますので、導入を迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
家事動線が良くなる
例えば通常の選択動線は、1階の洗濯機で洗濯をし、2階のベランダで干し、リビングなどでたたみ、最後にそれぞれの部屋に収納するという流れが多いです。洗濯は移動が多く労力がかかるため、家事の中でも負担の大きいイメージではないでしょうか。
しかし、ファミリークローゼットに衣類を集約できれば、家事効率は格段に上がります。
さらに間取り次第では洗濯から収納までの一連の動作を同じ動線で完結できることもあり、生活ストレスの軽減につながります。
新しい生活様式に合っている
ファミリークローゼットを導入すると家事動線だけでなく生活動線も改善することができます。玄関を入ってすぐ着替えと手洗いができる間取りであれば、リビングにウイルス、花粉ほこりなどを持ち込みにくいです。
また大部分の荷物がファミリークローゼットに集まることで、ライフステージの変化に応じて間取りを変更するなどの対応がしやすいです。
スペースを有効に使えて居住空間が広がる
住宅のあちこちにフルサイズのクローゼットを置いてしまうと、何がどこにあるか次第に把握が難しくなるほか、居住空間も圧迫してしましいます。ファミリークローゼットに衣類等をまとめることができれば、各部屋のスペースを有効活用できるようになり、結果的に居住空間が広がります。
またこのような、ライフスタイルの変化に応じて間取りの変更も行いやすい設計は、現代において需要が高まってきています。
整理整頓しやすい
コート、帽子、バッグなど、外出のための身の回り品が1ヵ所にまとまっていれば、自室やリビングにものが散乱しにくくなります。使ったら元の場所に戻すという動作を習慣化しやすくもなるため、片付けの基本が徹底され生活スペース荒れるのを防ぐことができます。
また「あれはどこにしまったかな」という日常でよくあるトラブルの防止にもなり、生活のストレスも軽減されるでしょう。
掃除がしやすい
特に子育て世代の家庭などは、掃除のしやすさで生活の負担が大きく変わってきますよね。ものの位置が決まれば床に物が放置されるということもなくなり、掃除機もスムーズにかけることができます。
生活空間をきれいに保つことができ、暮らしやすさが格段に上がります。
ファミリークローゼット導入時の留意点
ファミリークローゼットの導入にはいくつか留意すべき点もあります。使い方や間取りを考える際に参考にしていただきたいと思います。
物置化しないようルール決めが大事
ファミリークローゼットを導入する際には、何をしまっておく場所にするのかを決めて家族で共有しておくことが大切です。ルールなしに各々が好きに収納を使い始めると、せっかくのファミリークローゼットもいつの間にか物置のように使われることになってしまいます。
事前に家族内でファミリークローゼットに何を置くのか相談し、運用方法をルールとして決めておくようにしましょう。
プライバシーが気になる場合も
例えばファミリークローゼットが客間に近い場合などは、来客時に少し使いづらいと感じることがあるかもしれません。来客時でも使いやすいような動線を考えておくようにしましょう。
それから、家族の性格によっては自分のものをすべて共用部にはおきたくない、着替えは自分の部屋でしたいという場合もあるかもしれません。
そんな時は、ファミリークローゼットは一時的に洗濯済みのものを保管する場所にして、自分で自室に持ち帰ってもらうようルールを決めると良いでしょう。
結果として家事を手伝ってもらうことになりますし、自分のことは自分で行うという習慣も身に付きます。
ファミリークローゼットがあれば各部屋のクローゼットが全くいらなくなるというわけではありませんから、小さめのクローゼットなどは用意して家族同士でもプライバシーを守れるようにしておきましょう。
理想の設置場所・間取り
例えば下記のような一連の流れをスムーズに行えるような動線が叶えば便利ですよね。
- 帰宅してから着替える、手を洗う
- 外出時に身だしなみを整える、着替える
- 洗濯物を洗う、干す、畳む、しまう
玄関につながる間取り
玄関のシューズクロークにつながる動線上にファミリークローゼットを設置する間取りも人気があります。外から帰ってくる時は靴を脱いですぐファミリークローゼットでコートを脱ぎ、部屋着に着替えてリビングへ。
外出の時はファミリークローゼットで身支度を整えてすぐ玄関を出ることができます。
外出、帰宅時の一連の動作を1つの動線上で完結できる間取りですね。
シューズクロークを併設
シューズクロークと併設したファミリークローゼットも人気があります。玄関に入るとすぐに靴、傘、帽子、上着などを収納することができます。
また車いすやベビーカーなどもそのまま収納できるため、土や塵、ほこりなどを極力玄関から先に持ち込まないような設計になります。
衛生的でもありますし、子育て介護などのライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる可変性の高い間取りです。
洗面所・脱衣所につながる間取り
ファミリークローゼットが洗面所や脱衣所につながっていれば、帰宅時してすぐ着替えることができるため、中に着ていた服をリビングに持ち込むことなくすぐ洗濯へ回すことができます。そのまま洗面所で手を洗うことができウイルス対策にもなるため、現代の生活様式に非常にマッチしていますね。
可能なら物干しにつながる間取りもおすすめ
可能であれば、ファミリークローゼット、ランドリールーム、物干しスペースが同じ動線上にある間取りもおすすめです。通常洗濯ものを干すスペースは2階のベランダなどが多いですが、例えば住まいが平屋という場合などにはぜひ検討してみてください。
洗濯物を洗う、干す、畳む、しまう、の工程が一つの動線で完結できれば、洗濯の負担と生活のストレスはかなり改善されるはずです。
他にも1階に物干しスペースがある方や、浴室乾燥機を多用するご家庭の場合も、洗濯動線を意識した間取りを検討してみてください。
また、ファミリークローゼットに一部物を置かず、洗濯物を畳むスペースとして残しておくのがおすすめです。
広さの目安
一般的にファミリークローゼットの広さの目安は、シューズクロークと併設する場合1~2畳。ランドリールームに併設して、室内着やタオル等を中心にしまう場合は2畳。
幅広く衣類をまとめて置きたい場合には3畳。
中で着替えも行いたいという場合は4畳以上あれば安心です。
ただ家族の人数や使い方、収納するものによって、ファミリークローゼットに必要な広さも変わってきます。
あくまで目安として参考にしていただき、設計士などともよく話し合って必要な広さを考えましょう。
2つの動線タイプ
欲しい収納の量や使い方によって、どちらのタイプが自身の暮らしに合うかイメージしながら見てみてください。
ウォークインクローゼット
ウォークインタイプの特徴は、ウォークスルータイプよりもものを多く収納できて個室のように利用できるところです。最大で扉以外の面をすべて収納にすることができます。
ただ室内からの出入り口が1つだけなので、動線が悪くなってしまう場合もあります。
もし平屋の場合は、勝手口を設置すると洗濯物を取り込む、しまう、の動線を最短とすることもできます。
着替えの際鍵をかけやすい
ファミリークローゼット内で着替えたい場合、着替えている間誰かが入ってこないように鍵をかけたいこともあるでしょう。室内からの出入り口が1つであれば鍵をかけるのに手間はかかりません。
特に年頃のお子さんがいるご家庭では鍵のかけやすさは気になりやすいです。
家族で長く住んでいく住まいですから、今はまだお子さんが小さくても、5年後10年後のことも考慮して動線タイプを検討しましょう。
ウォークスルークローゼット
ウォークスルータイプは室内からの出入り口が2つあって行き止まりにならないので効率的な動線をつくることができます。例えば玄関、ファミリークローゼット、洗面所・脱衣所の順で通り向けができれば、帰宅外出時の動線が完結しますね。
一方で、人が通り抜けできるスペースが必要となりますので、ウォークインタイプと比べると収納量自体は少なくなってしまうことが多いです。
着替えの際はルールを決めよう
ウォークスルータイプでは出入口が2ヵ所あるため、着替えの際鍵をかけたいなら2ヵ所施錠する必要があります。もしくは普段は開けっ放しにしておいて、着替えるときだけドアを閉めるというのを家族の共通のルールにするなどして工夫しましょう。
それでは安心できないという場合やルールが守られない場合は、特に年頃の子などは結局自室で着がえることになるかもしれません。
ファミリークローゼットの運用方法は家族で話し合い、みんなが快適に利用できるよう配慮することが大切です。
ファミリークローゼットで失敗しないためのポイント
生活空間をより快適にするために取り入れるものですから、失敗しないためにはこれから長く運用していくことを見据えて、家族と認識を共有しておくことが重要になりますよ。
ここまでに紹介した内容を踏まえて、ファミリークローゼットを有効に活用するコツは以下のようになります。
あらかじめ生活動線を具体的にイメージしておく
ファミリークローゼットは「何となく」で作ってしまうと、ただの物置きと化してしまい便利さが活かされない結果になってしまう可能性があります。ファミリークローゼットで何をするか、をどのような動線上に配置するか、何をしまうか、等をあらかじめしっかりとイメージしておきましょう。
そうすることで自分たちに合った理想の間取りもおのずと見えてくるはずです。
躯体的なイメージがあるかないかで、設置後の満足度が大きく変わってきますよ。
ルールを決めてしっかり守る
ファミリークローゼットの使い方は、あらかじめ家族間でルールを決め共有しておくようにしましょう。例えば洋服、下着、リネン類だけをしまうと決めたなら、雑貨や掃除用具、家電などを置いてしまわないように気をつけます。
これはファミリークローゼットをただの物置きにしてしまわないためにも大切なことです。
また着替え中のカギのルールも、もし決めた場合は守られないと結局自室で着替ええることになり本末転倒となってしまうので注意が必要です。
家族間で設けた決まりはしっかり守って、全員が気持ちよく過ごせる配慮を忘れないようにしましょう。
ファミリークローゼットの湿気対策の例
脱衣所の延長にはお風呂もありますから、対策をしないままではカビが発生したり、ダニが増えたりしてしまうことも。
そのため動線タイプにかかわらず、湿気対策が必要になるのですね。
ファミリークローゼットの湿気対策の例を紹介しますので、どの方法が暮らしや間取りに合っているかイメージしながら参考にしてみてください。
窓を設置する
開閉可能な窓を設置することができれば、定期的に換気を行うことで湿気がこもるのを防ぐことができます。ただ、窓の設置場所によっては収納スペースが減ってしまう場合もありますので注意しましょう。
新築、改築の際に、間取りが許せばプランに組み込むことを検討してみてください。
換気システムを導入する
24時間換気システムを導入するのもおすすめの方法です。ほとんどは天井に設置されるため収納スペースを圧迫する心配がないほか、窓を開け閉めする、スイッチを入れるなどの操作をしなくても自動的に換気をしてくれるのが嬉しいポイントです。
除湿器を使う
窓をつけられる間取りではない、換気システムの導入も難しいという場合は、除湿器やサーキュレーターを稼働させて対策しましょう。ファミリークローゼットが完成した後に用意すれば大丈夫ですので、急がなくても納得のいく機器を探す余裕があります。
ファミリークローゼットの湿気対策をしたいときだけ移動させて、それ以外の時はリビングら自室で使用することもできます。
動線を意識したファミリークローゼットで快適な空間づくりを
うまく取り入れることで家事動線、生活動線をシンプルにすることができ、ストレスを軽減しつつ効率的な生活を実現することができます。
そのためには導入前に住まいでの具体的な動線をイメージしておくことが非常に重要です。
ファミリークローゼットで何をしたいか、何を置きたいかなど、家族の意見も取り入れながらイメージを固めていきましょう。
そうすることによって、おのずと理想的な間取りが見えてくるはずですよ。
収納は暮らしやすさを左右する重要な要素です。
家族と長い時間を過ごす住まいをより快適な空間としていくためにも、ファミリークローゼットを有効に活用していただきたいと思います。

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