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被災者生活再建支援制度とは?支給額・申請方法と中規模半壊時の新設条件についてわかりやすく解説

【更新日】2024-01-30
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被災者生活再建支援制度
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被災者生活支援制度とは、災害大国と言われる日本で巻き起こる災害に対して、被災した人の支援をおこなう制度のことです。

今回はこの制度の概要について解説する他、2020年11月30日、第203回臨時国会にて決まった一部の改正内容(中規模半壊の新設)についても詳しく解説していきます。

現在、申請を考えている方はもちろん、そうでない方も万が一のことを想定して、基本的な内容を把握しておきましょう!

被災者生活再建支援制度の内容

被災者生活支援制度は、1995年に起こった阪神・淡路大震災を契機に制定された制度です。

震災を機に建物が倒壊、ローンだけ残された世帯も多く、こうした世帯を救済するために制度が設けられました。

この法律は2011年の東日本アイ震災で再びクローズアップされることになり、航空写真・衛生写真で破壊・流失が確認された家屋は一律で全壊扱いにするなど、判定基準や申込方法を簡略化してより利用しやすくなりました。

この制度は、以下のような被害によって全壊・半壊した家屋の再建に必要な支援金を用いて、早急な生活復旧に貢献することを目的としています。

  • 台風
  • 豪雨・豪雪
  • 地震
  • 津波
  • 噴火

被災者生活再建支援制度の適用範囲(原発避難者の適用有無)についての論争

被災者生活再建支援制度は自然災害によって被害を受けた方を対象としていますが、東日本大震災の時に原発付近に住んでいた避難者へは適用外となったことから、大きな問題となりました。

福島県や浪江町、日弁連などが国に要望を提出する一方で、国はあくまで「東京電力の賠償支払いをサポートする」としており、具体的な法改正を避けている状態です。

上記の例は自然災害に起因する被害ではあるものの、建物の倒壊等は見られず、判断が難しい状況ではあります。

ただ、政府の対応の根本には慢性的な財源不足があり、必ずしも合理的な判断ではないという批判も少なくありません。

被災者生活再建支援制度における支援金などの詳細(2020年11月以前)

以前の被災者生活支援制度は、支援の対象が以下の4ケースに限られていました。

  • 全壊
  • 大規模半壊
  • 半壊(その後、解体せざる得なかった)
  • 長期避難世帯認定

また、制度が適用される災害も、一定以上の規模のものに限定されています。

「災害救助法 第1項第1号」によると、被害区域である市町村人口と被害(減失)世帯数の関係は以下のようになっています。

市町村人口 被害世帯数
5,000人未満 30世帯以上
5,000人以上15,000人未満 40世帯以上
15,000人以上 30,000人未満 50世帯以上
30,000人以上 50,000人未満 60世帯以上
50,000人以上100,000人未満 80世帯以上
100,000人以上 300,000人未満 100世帯以上
300,000人以上 150世帯以上

また、「災害救助法 第1項第2号」では、都道府県人口当たりの適用条件がまとめられています。

都道府県人口 被害世帯数
5,000人未満 30世帯以上
1,000,000人未満 1,000世帯以上
1,000,000人以上2,000,000人未満 1,500世帯以上
2,000,000人以上 3,000,000人未満 2,000世帯以上
3,000,000人以上 2500世帯以上

上記の他にも、例外として以下の条件を満たしている場合、無条件に適用されるルールになっています。

  • 同一の市町村で10世帯以上の住宅が全壊
  • 同一の都道府県で100世帯以上の住宅が全壊
  • 人口10万円未満の市町村で5世帯以上の住宅が全壊
  • 合併前の旧市町村単位で5世帯以上の住宅が全壊※条件あり

2020年11月30日に改正された制度の内容

2020年11月30日に改正された制度の内容

上記の制度内容では、半壊後に解体をしていない場合、支援金を受け取ることは出来ませんでした。

ただ、現存していたとしても半壊なら生活がままならないので、被害認定を受けることができませんでした

しかし2020年11月30日に法制度が改正され、被害区分が6つに細分化されました。

  • 全壊
  • 大規模半壊
  • 中規模半壊
  • 半壊
  • 準半壊
  • 一部損壊

このうち、中規模半壊に指定された家に支援金が支給されることになりました。

これまでは支援の対象外だった実際には住めないけど、区分としては「半壊」になってしまう家でも支援が受けられるようになったのです。

中規模半壊は基礎支援金が振り込まれない

それぞれの区分の損害割合と基礎支援金の額は以下の通りです。

区分 損害割合基礎支援金
全壊 50%以上100万円
大規模半壊 40%以上50%未満50万円
中規模半壊 30%以上40%未満

被災者生活支援金は基礎支援金+加算支援金で構成されていますが、中規模半壊の場合は基礎支援金がなく、加算支援金のみの受取となります。

区分ごとの加算支援金の額は、以下の通りです。

区分 支給額
全壊
  • 建築・購入:200万円
  • 補修:100万円
  • 賃借:50万円
大規模半壊
  • 建築・購入:200万円
  • 補修:100万円
  • 賃借:50万円
中規模半壊
  • 建築・購入:100万円
  • 補修:50万円
  • 賃借:25万円

中規模半壊の新設の問題点

前述の通り、被災者生活支援制度は東日本大震災を機に申請しやすいシステムへと変更されました。

ただ、今回の中規模半壊の条件新設によって区分の判定がより細かく難しくなったことで、調査にかかる時間や人員、予算のアップなどの問題が考えられます。

また、区分が細分化したことで、自治体の判定に対して異議申し立てが発生するケースも今後増える可能性が高いですが、この際、どのルートで申し立てるのかなどの制度整備もおこなわれてはいません。

こうした事柄が今後の課題となっていくと思われます。

被災者生活再建支援金の申込の流れ

被災者生活支援に申し込む流れは、以下の3ステップです。

  1. 支給金を市町村に申請する
  2. 申請された市町村が被災者生活再建支援法人に申請書を送付する
  3. 支援金が支給される

被災者生活支援制度に該当すると判断された場合、支援金等の2分の1以上を国が負担します。※東日本大震災など、被害が広範に渡る場合は5分の4などの負担事例もある。

上記のように支援金の確保がおこなわれ、初めて申請が出来るようになります。

【Step1】支給金を市町村に申請する

被災者生活再建支援金の給付を申し込む際は、市町村の申請窓口を利用します。

申請時の添付書面とその期限は、基礎支援金と加算支援金で異なります。

項目基礎支援金 加算支援金
申請時の添付書面 罹災証明書、住民票 等契約書(住宅の購入、賃借等) 等
申請期間 災害発生日から13月以内 災害発生日から37月以内

【引用】内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」より抜粋

このうち、罹災証明書を交付してもらうためには役所や消防署に申請をした後、被害認定調査を受ける必要があります。

この調査で「全壊」や「半壊」などの被害の程度を確定し、それに応じた支援金をもらうようになります。

災害区分調査箇所
地震 外観・傾斜・部位による判定
水害 浸水深・サンプル調査・ 外観、傾斜・部位による判定

支援金の申請は、必ず世帯主が申請をする必要があります。

【Step2】申請された市町村が被災者生活再建支援法人に申請書を送付する

被災者から市町村の窓口に提出された申請書は、関係書類を審査した上で都道府県に送付されます。

都道府県は審査の上で支給業務を委託している被災者生活再建支援法人に送付されます。

詳しくは後述しますが、このように複雑なフローを踏むため時間がかかりやすく、今すぐお金が欲しい人に対して支給が遅れるという問題点があります。

【Step3】支援金が支給される

市町村から都道府県に送付された申請書は、被災者生活再建支援法人の審査にかけられた後、通過した場合は支給金を決定して申請者の預金口座に振り込まれます。

被災者生活再建支援制度の課題

被災者生活支援制度は上記でも触れた通り、申請から支給までに時間がかかりやすいという欠点があります。

総務省の調査では、東日本大震災で被害を受けた20市町のうち、最短の支給でも平均39日、最長で平均110日もかかっていることが分かっています。

このような遅れが生じた理由としては、以下が挙げられます。

  • 申請件数が膨大で、準備していた人数の審査担当者が処理できなかった
  • 市町村・県・国の連携、連絡系統が整備されていなかった
  • 被災者生活再建支援法人の審査処理能力に課題が残った

上記のような反省から、都道府県による被災した市町村への支援の充実と審査処理能力の増強を進める必要があると考えられます。

災害支援制度に求められるケースマネジメント

災害支援制度に求められるケースマネジメント

2020年11月の改正によって中規模半壊にも支援金が給付されるようになり、より被災者に寄り添った制度へと変更されたのは間違いありません。

しかし、中規模半壊に区分されるケースでも被害の実態は全壊レベルの事例や、罹災証明書の発行もままならない事例などは十分起こりうると想定できます。

このような例外が起こると、効率化・スリム化のために適用されている一律支給の制度が、実際は逆効果となってしまいます。

このような状況をカバーするためには、起こり得る様々なケースを想定した上で制度をパッケージ化するケースマネジメントと、民間支援もフル活用をしていく姿勢が重要になると考えられます。

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