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路線価と実勢価格の違いとは?それぞれの内容の乖離の比較と調べ方・計算方法を解説

【更新日】2023-11-17
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路線価と実勢価格
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土地の価格をあらわすものに、路線価と実勢価格の2種類があります。

ただ、どちらも土地の価格なのにも関わらず、同一の土地の路線価と実勢価格は同じ金額にならないという注意点があります。

今回は、路線価と実勢価格の違いと計算方法などを、詳しく紹介していきます。

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路線価と実勢価格の違いとは?

路線価と実勢価格は、不動産評価において重要な二つの異なる概念です。

路線価は、土地が接する道路に基づいて算出される価格で、特に税金計算に使用されます。

この価格は公示価格、すなわち時価相当額の約80%で設定されることが一般的です。

これは、相続税や固定資産税の計算に影響を及ぼす重要な価格指標となっています。

一方で、実勢価格は土地の実際の成約価格を指し、市場における需要と供給のバランスによって決定されます。

実勢価格は、その土地の特性や周辺環境、さらには市場トレンドなどによって左右されるため、路線価とは異なります。

例えば、日当たりや近隣の建物の影響など、一時的な要因によっても変動することがあります。

税金計算においては、路線価が用いられる理由は、その安定性と公平性にあります。

もし実勢価格に基づいて税金を計算すれば、変動が激しく、不公平が生じる可能性があります。

路線価は比較的安定しており、計算における公平性を保つために使用されています。

しかし、路線価が公示価格の80%であるとしても、実勢価格との間にはしばしば乖離が生じることがあります。

これは、公示価格が理論上の時価相当額であっても、実際の市場価値とは一致しないためです。

また、税収の変動や納税者の反応を考慮すると、公示価格を時価に合わせて調整することは難しいため、路線価と実勢価格の差異は維持される傾向にあります。

不動産の土地価格を決める「一物五価」とは

一般的に土地価格は、一物五価という表現で言い表します。

一物五価には、前節で紹介した「実勢価格」と「路線価」が含まれており、それ以外にも、「公示価格」と「基準地価」、「固定資産税評価額」といった公的評価額が含まれています。

以下は、「一物五価」の概要と評価基準日、そして調査を行っている機関についてまとめた表になります。

指標 概要 調査機関 評価基準日
実勢価格 時価のことを指します。需要と供給の市場原理で決定されます。 買主様、不動産会社、不動産鑑定士 取引時点または査定時点
路線価 相続、遺贈または贈与の財産の相続税および贈与税の財産の評価を求めるときに使用する指標 国税庁 毎年1月1日
公示地価 土地取引や公共事業用地の取得価格、不動産鑑定の場で使用する指標 国土交通省 毎年1月1日
基準地価 土地取引規制の価格審査や公共用地の買収を行う時に使用する指標 都道府県 毎年7月1日
固定資産税評価額 固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税を求めるときに使用する指標 市町村
例:東京23区は東京都
基準年(3年ごと)の1月1日

なお、上記5つの公的評価額は全て土地の価格を表すものであり、マンション価格を示すものではありません。

マンションの価格を調べる際は、土地価格に加えて、建物の価格を調べる必要があります。

公示地価とは、国土交通省が発表する土地価格のことです。

この公示地価が、土地のあらゆる価格の基準となります。

似たようなものに基準地価がありますが、こちらは都道府県が調査・発表すること、調査が7月1日・公表が9月下旬になること以外は公示地価との大きな目的の違いはありません。

ただ、次の公示地価が発表される間の推移を見る目的などに利用されることが多いです。

最後に固定資産税評価額ですが、これは市区町村が固定資産税を計算するための不動産評価額となります。

路線価から実勢価格を求める方法

土地価格を求める際に必要になる実勢価格を知るには、路線価を把握することから始めなければなりません。

実のところ路線価は、国税庁が管理・運営している「路線価図・評価倍率表」から求めることができます。

対象の路線価を調べた後は、実勢価格を求める計算式に当てはめて計算することでおおよその実勢価格を知ることができます。

ここでは、「路線価の調べ方」と「実勢価格の計算方法」についてそれぞれ解説します。

路線価図から路線価を調べる方法

冒頭でも触れたように、路線価は、国税庁が管理・運営している「路線価図・評価倍率表」から調べられます。

以下は、路線価図から路線価を調べる手順になります。

路線価図から路線価を調べる手順

  1. 「路線価図・評価倍率表」にアクセスして調べたい都道府県を選ぶ
  2. 「路線価図」を選ぶ
  3. 調べたい市区町村を選ぶ
  4. 調べたい地名(町・大字)を選んで路線価図ページの番号を選ぶ
  5. 確認したい地点を見つけて土地が隣接している道路上の路線価を調べる

上記5つの手順に沿って、路線価を調べていきます。

手順①:「路線価図・評価倍率表」にアクセスして調べたい都道府県を選ぶ

路線価図①

手始めに「路線価図・評価倍率表」にアクセスして、路線価を調べたい都道府県を選びます。

例として、今回は、東京都を選択します。

手順②:「路線価図」を選ぶ

路線価図・評価倍率表①

ページが遷移したら、上部にある路線価図を選びます。

手順③:調べたい市区町村を選ぶ

路線価図・評価倍率表②

次に、調べたい市区町村を選んでいきます。

例として今回は、品川区を選びます。

手順④:調べたい地名(町・大字)を選んで路線価図ページの番号を選ぶ

路線価図・評価倍率表③

次に調べたい地名(町・大字)の路線価図ページの番号を選んでいきます。

調べたい場所がどのページ番号にあるかは開いてみないとわかりません。

例えば、「大井6」のように、複数のページに分けられているものがあれば、「大崎2」のように1ページのみのものもあります。

手順⑤:確認したい地点を見つけて土地が隣接している道路上の路線価を調べる

路線価を調べたい土地が見つかると、以下のような形で路線価図が表示されます。

路線価図・評価倍率表④

図中の道路上に「640C」や「860C」などの表記があります。

これが今回調べたい路線価になります。

これらの記号は、その道路に面している土地の1㎡当たりの価格(1,000円単位)を示しています。

例えば調べたい土地が「620C」の道路に接している場合、その土地の1㎡当たりの価格は、62万円となります。

なお、計算式は以下のようになります。

路線価図から路線価(1㎡当たりの価格)を求めた時の計算式

620×1,000=620,000円=62万円

そして土地面積が50㎡あった場合、62万円×50㎡=3,100万円となります。

路線価図から路線価を求めるときの注意点

実際に路線価図から路線価を求めて、相続税評価額を算出する際は、奥行価格補正や不整形地補正など、より厳密な計算式が必要なります。

不動産売却価格の決め方とは?売り出し価格と査定価格・成約価格の違いと参考価格の調べ方・注意点

路線価から実勢価格を求める方法

路線価図から路線価を調べたら、いよいよ実勢価格の算出に進みます。

実勢価格も路線価も、ベースとなるのは国土交通省が算出している公示価格になります。

公示価格とそれぞれの価格の目安は、以下の通りです。

公示価格とそれぞれの価格の目安

  • 実勢価格:公示地価の1.1~1.2倍
  • 路線価:公示地価の0.8倍

つまり、路線価から以下の計算式で実勢価格を求めることができます。

実勢価格の計算式

実勢価格=路線価÷0.8×1.1~1.2

例えば、路線価が30万円/㎡の100㎡の土地がある場合、実勢価格は以下のように求めることができます。

30万円÷0.8×1.1=412,500円【実勢価格】

ただ、これはあくまで目安であり、実勢価格はその他の要素によって変化する可能性があります。

実勢価格が変わる要素
  • 実勢価格が目安より高くなる要素:立地やエリアのブランドが高い。大規模な都市開発が予想されている
  • 実勢価格が目安より低くなる要素;直近で殺人事件などが起きた。少子高齢化が著しい

人気のエリアなどは、実勢価格は公示地価の1.5倍以上になることもしばしばあります。

実勢価格は取引時の最終的な価格

実勢価格は不動産を売買する際の、最終的な取引価格のことを指します。

良くSUUMOなどのポータルサイトに中古物件の価格が掲載されていますが、これはあくまで売り出し価格であり、最終的な売買契約で決定される取引価格とは異なるケースが多いです。

特に中古の不動産売買は買主優位になりやすいので、買主側から値引き交渉をされて、売り出し価格より下がってしまうことが多いので注意しましょう。

不動産売却価格の決め方とは?売り出し価格と査定価格・成約価格の違いと参考価格の調べ方・注意点

路線価を利用して実勢価格を計算する際の注意点

路線価を利用して実勢価格を計算する際は、上記の計算式にただ当てはめるだけではズレが生じるケースも多々あります。

ここからは、計算する際に注意しておきたい点を紹介します。

注意点①路線価は土地の実際の状況が加味されていない

実際の土地売買では、整備されていない荒れ果てた土地は売れにくくなります。

ただ、路線価は接道状況のみで価格を算出するので、各土地のこうした状況は一切加味されていません。

そのため、路線価を基に計算すると思っているよりズレが大きくなる可能性もあります。

注意点②実勢価格は面積に比例して高くなるとは限らない

路線価は、土地面積が大きくなるほど高くなる傾向にあります。

しかし、実勢価格は土地面積が大きくなるほど高くなる訳ではありません。

大きすぎる土地は逆に使い勝手が悪いとみなされて、売れにくいケースも多々あります。

この際は、分筆といって土地を複数に分けて別々に売り出す方法が効果的です。

土地を分筆して売却する方法と注意点をわかりやすく解説!

これによって、土地をほぼ計算通りに売却することができます。 

路線価と実勢価格に関する質問

ここでは、路線価と実勢価格を調べる前に解決しておきたい疑問を質問形式で解説して行きます。

土地の評価額は路線価で計算できる?

土地の評価額は、路線価に基づいて計算することができます。

計算式は「評価額 = 路線価 × 土地の面積」となります。

例えば、路線価図上に「150A」と表示されている場合、これは「1平方メートルあたり15万円」という意味であり、この価格に土地の面積を掛けることで、その土地の評価額を導出できます。

この計算方法は、特に税金の算出において重要な役割を果たします。

土地の売り時を調べる方法は?

土地の売り時を調べるには、公示地価や不動産価格指数、レインズの不動産市場動向などの情報を参考にすると良いでしょう。

これらのデータは市場の需給バランスや経済環境、人口動態など、不動産価格に影響を与える多くの要素を反映しています。

これらの情報を活用することで、市場の傾向を把握し、適切な売り時を予測することが可能になります。

路線価の調査を行っている機関はどこ?

路線価の調査と公表は、日本の国土交通省が担当しています。

この機関は、土地の価格評価に関する重要なデータを提供する役割を果たしており、土地の適正な評価に欠かせない情報を年々更新しています。

路線価はいつ頃公表される?

路線価は毎年、1月1日時点の価格を基にして評価され、その年の3月頃に公表されます。

この時期の公表は、土地の価値を反映した最新のデータを提供することで、土地売買の参考になるように配慮されています。

路線価が公示価格の約8割に当たるのはなぜ?

路線価が公示価格の約8割に設定される理由は、土地の評価額を時価に近づけるためです。

これは、1992年の評価から決定されたもので、相続税や贈与税における土地評価のゆがみを解消するための措置です。

以前は路線価が公示価格の7割で評価されていましたが、これによって実勢価格との乖離が大きくなっていたため、8割への引き上げが行われました。

不動産は高く売ることを目指す

前述の通り、実勢価格=路線価÷0.8×1.1~1.2で計算するのが一般的です。

ただ、上記の計算式より高く売ることも不可能ではありません。

土地を購入する方は売主と同じ不動産の初心者ですから、第一印象をアップさせれば、それに引っ張られて高く売ってくれる可能性は高まります。

まずは不動産を算出した実勢価格以上で高く売ることを目指しましょう。

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